
ボアオ・アジア・フォーラム2018年次総会で、翻訳機を体験する外国の来賓
海外旅行で最も心配なことは何か。東京のレストランで日本語のメニューを見た時、パリの街で道を尋ねたい時、韓国での買い物で言葉が通じず買い間違えた時など、言葉の壁により気まずいことが起こり、楽しみにしていた旅行は台無しになってしまう。近年、海外フリー旅行の人気に伴い、リアルタイム翻訳のニーズも高まり、人工知能(AI)翻訳機は海外旅行に欠かせない「新器」になっている。IT大手もAI翻訳機分野に次々と進出している。市場が活気づく中、AI翻訳機の将来性はどうだろうか。翻訳者の代わりになるのだろうか。
『2017年中国海外旅行ビッグデータ報告』によると、2017年の中国公民海外旅行社は延べ1億3000万人、消費額は1152億9000万ドルに達し、中国人はタイ、日本、韓国、ベトナム、ロシアなどの多くの国で最も多い外国人観光客になっている。しかし、ある研究によると、言葉は海外旅行者にとって最大の問題である。
韓さんは旅行が好きな1990年代生まれ女性で、買ったばかりのAI翻訳機を持って日本を7日間フリー観光した。彼女は、「以前は海外旅行に消極的で、言葉がわからないことが不安だったが、今は機会が翻訳してくれるから安心」と話す。
今回の日本旅行で、韓さんは道路標識、レストランのメニュー、スーパーでの買い物などに困らなかっただけでなく、旅行中に外国人の友人もできた。彼女は、「機械があるおかげで、日常会話だけでなく現地の風土と人情について話すこともでき、現地の人とより深く交流し、気の合う友人もできた」と話した。
海外旅行ブームとAI翻訳技術の向上は、中国のAI翻訳機市場の台頭を後押ししている。複数のデータを見ると、2016~18年の中国の海外旅行支出は年間1000億ドル以上で、うち翻訳機の売上高だけで年間1000億元に達する。
AI翻訳機市場の見通しは明るいが、多くの試練もある。中国の主なAI翻訳機を見ると、一部商品は価格が高く、中にはミドル・ハイエンド携帯電話を超えるものもある。記者が京東と天猫商城の通販サイトで「AI翻訳機」と検索したところ、大きさと外観がそれぞれ異なり、複数の言語に対応し、オフラインで使用でき、価格は600~3000元に集中していることがわかった。
海外旅行の「神器」は価格が高いが、多くの人が年に多くても数回しか海外旅行をせず、数百元から数千元で購入するのは割に合わないと言える。使用頻度が少ないことはAI翻訳機の試練の1つとなっている。ある旅行者の従業員は、「1年に1~2回しか海外旅行をしない人には、レンタルが人気だろう。旅行サイトは翻訳機のレンタルサービスを行なっており、価格は数十元ほどで、最も安いものだと17元でレンタルできる」と話した。
また、翻訳が正確でない、表現が堅苦しいなどもAI翻訳機の発展の最大のネックである。これらの問題を解決するには、人工的な改善または機械学習が必要である。
スマート時代、芸術家でさえAIに取って代わられることを不安に思っており、翻訳者は言うまでもない。実は、海外の多くの場において、専門的または正確な同時通訳は必要ではない。日常のコミュニケーションがそうである。
AIの登場は人の代わりにするためではなく、人の作業をサポートするためである。機械翻訳は翻訳者の仕事を奪わず、うまく補充してくれる。上海外国語学院高級翻訳学院の呉剛副院長は、「機械は翻訳の中で技術が単一で、対人的にインテリジェントニーズの低い部分で代わりになることができ、人はさらに創造力のあることに取り組める」との見解を示す。
将来、翻訳者と機械翻訳の目標市場における役割はより明確になると見られる。上海外国語大学英語学院語言文学系の陳琦准教授は、「機械翻訳と翻訳者は市場の異なる部分を占め、分野違いの競争を実現するだろう。ミドル・ローエンド翻訳市場においては機械翻訳が主導的な地位を占め、翻訳者は主に翻訳精度が求められる文学、法律文書、医学資料などの専門的なハイエンド市場で必要とされる」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年6月26日
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