中国の月探査機「嫦娥4号」は3日10時26分に月の裏側に着陸し、通信中継衛星「鵲橋号」を通じ月の裏側を近距離撮影した世界初の写真を伝送した。
自転と公転の特徴により、月は永遠に片側のみを地球に向ける。これまで宇宙で月の裏側を観測した月周回衛星はごく少数で、かつ通信の制限や技術的な原因により、人類はこれまでこの秘境に足を踏み入れてなかった。嫦娥4号の月の裏側での着陸成功は、人類の宇宙探査の歴史における新記録を樹立した。
月を周回する探査機の増加により、人々は月の裏側が表側と大きく異なることに気づいている。表側は比較的なだらかだが、裏側はごつごつし、クレーターが多い。裏側の地殻は表側よりも厚い。これがどうしてなのかは現在も謎に包まれており、着陸し探査しなければこの謎を解明できない。
中国科学院地質・地球物理研究所の林楊挺研究員は「月にかつて生じたことは、地球でも生じたことがある。しかし地質活動により、当時の地球の痕跡は留められていない。地球に昔生じたことを知りたければ、月がその答えを導き出してくれるかもしれない」と話した。
独キール大学物理実験・応用研究所のプロジェクト担当者は「今回の任務は楽しみだ。月の裏側での着陸と探査は世界初であり、未来の人類月上陸の準備に理想的なアイデアをもたらす」と述べた。
「宇宙飛行士が地球に帰還した後も、月で受けた放射線が体内に残る。これは存在し続けるリスクであり、そのためこの放射線について理解を深めなければならない」
スウェーデン宇宙公社太陽系科学部長は「初の月の裏側での軟着陸は中国の大きな成果だ。我々はこの任務の一部になれたことを非常に喜んでいる」と述べた。
「月の水は太陽風と月面の風化層の相互作用により生まれたという説があるが、これはスウェーデンと中国の科学者が探査により明らかにしたい問題だ」
嫦娥4号任務には4台の国際ペイロードが含まれる。世界の多くの科学者に宇宙探査の機会を提供し、人類の知恵を集め宇宙の謎を解く。
天文学者にとって、月の裏側は得難い静かな場所だ。月そのものが地球からの各種電波を遮断するからだ。そこでは大爆発後の宇宙がいかに暗闇を脱し、第1世代の恒星を作ったかをうかがい知ることができるかもしれない。
嫦娥4号任務は中国とオランダの科学者が開発した低周波の電波探査装置を搭載している。中国科学院月・深宇宙探測総体部の鄒永廖主任は「月の裏側で低周波の電波天文観測を行うことは、天文学者が夢にまで見たことだ。電波天文分野の低周波観測範囲の空白を補うことができる」と述べた。
嫦娥4号はさらに綿花、アブラナ、じゃがいも、シロイヌナズナ、酵母、ショウジョウバエを生命の存在しない月にもたらし、小型生物圏を形成する。
月の夜がどれほど寒いのかについて、中国人科学者はまだ確かなデータを手にしていない。嫦娥4号の任務には、月の「体温測定」も含まれる。
第五研究院嫦娥4号ローバー総体主任設計士の申振栄氏は「月の裏側の探査は、中国の世界への貢献だ。現時点では最終的に何を探査できるか不明だが、この探査は数世代の人々に良い影響を与えるかもしれない」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年1月4日