月には土壌というもう一つの水源がある。これはレゴリスとも呼ばれ、その中にはケイ素と金属酸化物と、およそ平均43%の質量分率の酸素が含まれる。理論上、月の土壌を900度以上に加熱すれば、宇宙飛行士が地球から持ってきた水素もしくは炭素を使うことで鉱物から酸素を「剥離」し、水素と結びつけ水を形成できる。
土壌から酸素を抽出することで、レアメタルという貴重な副産物が生まれる。しかし科学者は、酸素を化学結合から引き出す場合、氷を加熱するよりもエネルギー消費量が激しいと計算している。
月が南極に?
水や氷を掘削する利益の問題よりも、科学者は科学実験に用いる基地の建設に関心を寄せている。これにより月は南極科学基地と同じように、完全に科学的な興味に変わる可能性がある。
しかし南極はどれほど厳しい環境であっても地球上にある。月には大気と磁場の防護がほぼないため、基地の建物は荷電粒子放射線や小型の隕石に耐えなければならない。最初の簡素な建物は地球から持っていき、さらに厚さ数メートルの砂もしくはレゴリスでこれを覆う。
月の一部の自然条件も利用できる。崖、谷、洞窟、溶岩洞窟は基地を保護できる。日本の月周回衛星「かぐや」と米国の月探査機が提供した情報によると、月の表側のマリウス丘には、全長数千メートルの「候補」トンネルが存在する。
研究者は地球上で現在、月の建築物の改善に向けた試験を行っている。ドイツ航空宇宙センター(DLR)の実験室内で、科学者はレゴリスを使い人工石を作っている。このレンガは現在、コンクリートの5分の1の強度を持っている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年1月24日