“没入体験”がエンタメ経済の新たな起爆剤に

“没入体験”がエンタメ経済の新たな起爆剤に。

タグ:没入体験 エンタメ経済

発信時間:2020-01-04 09:00:00 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 上海の「McKinnon Hotel」のロビーバーでは、“マンドレイクの根”というカクテルが毎晩200杯売れている。バーの年間売上は500万元以上。ここで3年続く没入式演劇「スリープ・ノー・モア」が大ヒットしたおかげだ。


 「スリープ・ノー・モア」がヒットした3年は、没入体験を味わえるエンタメが流行した3年でもある。統計によると、中国の没入娯楽の7割弱がこの2年で誕生し、何もない状態から200件以上に増えた。没入式の演劇、デジタルアートを使った没入式の体験ミュージアム、リアリティーショーなど、手法も細分化されている。“没入体験”がオフラインのエンタメ消費の新たなエンジンとなっているのだ。日本のデジタルアート集団であるチームラボの大ヒット作、“ボーダレス”ミュージアムが上海にオープンし、毎日行列ができている。上海では、有名な没入式エンタメ「秘密の映画館:007カジノロワイヤル」が「大世界」で最近始まり、その新しい体験がネットに拡散されている。


 上海戯劇学院創意学院の劉志新副院長が指摘するように、ミュージアムやライブ、商業空間といったプラットフォームにおける“没入体験”は、オフラインエンタメを再定義しようとしている。そして“ニュー・テクノロジー・アート”と新しいライフスタイルが重要な文化消費品となっている。今後、さらなる商業的想像力をもたらしそうだ。


伝統娯楽産業に浸透する“没入体験” 今後は映画以上の産業規模に


 発表されたばかりの「2019年イギリス没入体験経済レポート」によると、没入式のテクノロジー業界および将来の世界的高成長分野であるVR(仮想現実)とAR(拡張現実)においてイギリスは、ヨーロッパ最大の市場となっている。有望な没入式ビジネス関連企業が1250社あり、それらの企業価値は計1600億ドルと見積もられている。世界的にみると、人類の五感を最大化するビジネスは大きな波を形成している。世界の没入型娯楽産業は2018年までに45億ドルの市場規模となっており、452億ドルのテーマパーク産業を加えれば約500億ドルとなる。これは世界の映画興行収入の総額である411億ドルを大きく上回る。文化的エンタメ分野では、VR、AR、MR(複合現実)、マルチメディア技術が広範囲で開発・運用されており、それらをうまく活用した没入式商品が資本市場で大いに注目されている。


 劉志新氏は、「没入体験経済は、ほぼすべての従来型文化的娯楽産業にも浸透している」と述べる。「没入式の体験商品は実験とイノベーションのインキュベートを重視する新たな分野だ。大人気となったものはアーティストの先端的実験が基になっている。1つの創意あふれるコンテンツをテクノロジーで表現することで、最終的に大衆消費市場へ向かっていく」。


 いま世界で最も人気である没入式デジタルアート体験ミュージアム、チームラボの“ボーダレス”が、上海に大きな旋風を巻き起こした。“ボーダレス”が東京で開催された際は230万人以上を動員したが、これはゴッホ美術館の1年間の参観者数さえも上回る。深圳で開催された際には3カ月で7000万元を稼いだ。チームラボは600人以上の若いアーティスト、プログラマー、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家などから成る。彼らが作る“デジタルワンダーランド”こそ、インスタレーション作品を流行商品にする代表例である。


「中国網日本語版(チャイナネット)」 2020年1月4日

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