中国初の火星探査ミッションを担う「天問1号」火星探査機が23日に打ち上げられ、中国の火星探査の第一歩を踏み出した。これに先立って、アラブ首長国連邦の火星探査機「HOPE(ホープ)」号が20日に日本の種子島宇宙センターから打ち上げられ、米国の火星探査車(ローバー)「パーサビアランス」も30日にケープ・カナベラル空軍基地から打ち上げられる予定である。
注目すべきは、中国の火星探査プロジェクトは「ワンステップアプローチ」の戦略を採っており、1回の発射で火星の周回、着陸と巡視探査を実現し、科学データを採取することだ。これは中国の航空宇宙史上のブレイクスルーであるばかりか、国際的にも唯一無二のことだ。エンジニアリングの角度からいえば、もし「天問1号」ミッションが成功すれば、人類の火星探査事業が飛躍的な進歩を遂げることになる。
エンジニアリング面でのブレイクスルーは火星探査事業の礎に過ぎず、人類の火星探査の真の目的は、太陽系ないし宇宙の起源に関する知識を獲得し、地球上の生命の起源と行く末、宇宙に存在する唯一の生命であるのかどうかを理解することだ。これらの問題に対する答えを見つけることによって、人類は絶えず宇宙観を補強し、自身と、人類が存在する宇宙をよりよく理解し、最終的に地球上の問題をよりよく解決することができる。
火星探査は衛星通信、ナビゲーション、リモートセンシングなどの近地球軌道の航空宇宙技術の応用プロジェクトとは異なり、短期的には経済価値で推し量ることのできないため、「人類のための公益事業」である。したがって、どの国であろうと、幸いにも人類を代表して火星に赴き、前述の究極の問題に対する答えを見つけることは、それ自体が人類に対する多大な貢献となる。
中国は平等互恵、平和利用、包摂的な発展を基礎として、宇宙の分野における綿密な国際交流と協力を一貫して堅持してきた。「天問1号」火星探査機には、欧州宇宙機関(ESA)、フランス国立宇宙研究センター、オーストリア研究振興機構が提供した多くの科学機器が搭載され、火星の磁場、土壌などの観測に用いられる。中国は深宇宙通信の面ではアルゼンチンからの協力を受けている。中国の「天問1号」火星探査ミッションは、それ自体が国際協力のモデルであり、人類運命共同体の構築を推進する具体的な実践だと言える。
近い将来、人類は深宇宙探査事業のより多くの面で国際協力を深め、別の世界からの新たな知識を獲得し、共有することで先進技術と生産力の共通の進歩を推進し、最終的には人類全体がその恩恵を受けることになると信じる。
「中国国際放送局日本語版」2020年7月25日