「漢服を着るときのメイクと普段との最大の違いは眉と目で、眉毛は柔らかく細い方がよい。アイラインは橙と赤の2色が多い」。夜10時、孫珊さんはメイクルームを片付けながら記者に紹介した。ほかの「アルバイト」と違い、中秋節や元宵節などの伝統行事になると、孫珊さんは休むどころか忙しくなる。
「今年の中秋節前後は20件以上の注文を受けた。中国の伝統衣装を着て中秋節を過ごすことが若者の間で流行している」と話す今年29歳のメイクアップアーティストの孫珊さんは、中国スタイルの写真館を開き、漢服愛好家にメイクとスタイリング、衣装レンタル、写真撮影などのサービスを提供している。
最近、かんざしをつけて扇子を持った漢服スタイルが若者の間で新たなトレンドとなっている。彼らは意欲的に時間と労力を費やして漢服を人に紹介し、ニッチ文化の輪を広げ、漢服経済の発展を促している。
艾媒諮詢の『2022-2023年中国漢服産業の現状と消費行為のデータ研究報告』によると、2022年の漢服経済の市場規模は前年比23.4%増の125億4000万元に達し、2025年は191億1000万元に達する見通し。
徐々に頭角を現した漢服経済は漢服愛好者の注目を集め、起業の新たなブームとなり、これまで注目されていなかった関連の職業にも波及した。メイクアップアーティストの孫珊さんが提供するメイク・スタイリングサービスもその1つである。
26歳の「かんざし娘」の小林さんは、主にオンラインで仕事をしている。客から気に入ったかんざしの写真が送られてくると、小林さんは注文内容を確認し、自宅にある小さいスタジオで制作し、完成品を発送する。