ドイツ出身のある若者が近頃、SNSで話題になっている。彼は河南省の方言を流暢に話し、毛筆が得意なだけでなく、中国カンフーができ、漢方医の健康知識もあり、多くのネットユーザーから注目されている。

　彼は今年28歳で中国語名は無名さん（ドイツ名：Joel Mikael Walker）、漢方医を学んで8年になり、現在は河南省中医薬大学の鍼灸科の研究員生である。

　中国網のインタビューに対し「漢方医を学ぶようになってから、中国古代の人の知識はとても進んでいたことを知り、魅力があり、不思議だと感じた」と話す彼は、漢方医に対する情熱を興奮ながらに語った。彼は、自分は漢方医の受益者で、漢方医を学んだことで、周囲の人たちにも健康と楽しみを与えることができたと話す。

中国との不思議な縁

　無名さんは子供の頃から拳法が好きで、あることがきっかけでドイツをめぐり歩く少林寺の師匠からカンフーを学び、中国文化に触れる機会が増えたという。子供の頃から聞き馴染みがあったため、彼は中国と漢方医に興味を持った。特に、西洋医療で根治できない病気もあることを知った時、漢方医を学びたいと強く思い、2015年に河南中医薬大学に入り、漢方医を学び始めた。

　この8年間で、彼は漢方医に関する多くの知識を学んだだけでなく、河南省の方言も身につけた。「方言は漢方医を学びながら教師や同級生、患者から学んだ。河南省の方言はおしゃれ」と無名さん。

「漢方医は単なる医学ではなく、哲学でもある」

　無名さんは、「漢方医の根本的思想は天人合一、理論の基礎は陰陽五行で、中国の伝統的な哲学思想を表し、中国伝統文化の一部」と漢方医に対する認識を堂々と語った。専門分野を深く研究するため、彼は外国人にとって難解な『易経』など大量の国学の書物を読んだ。彼は、中国の伝統的な哲学思想を理解することは漢方医の研究に大いに役立つと考えている。

　無名さんは、漢方医の「中」にはもう1つ、一方に偏らず、陰陽のバランスが取れているという解釈もあると感じている。これは生命の最も健康な状態の1つだと言う。このような思想は医学に限らず、人生の良い導きともなる。「天人合一の思想を本当に理解し、人と自然・宇宙は一体だとわかっている人は、環境破壊などせず、世界で戦争も起きないだろう」と無名さんは話す。

世界に漢方医を広めたい

    2019年、無名さんの祖母が胃腸風邪になった時、食欲がなくなり、様々な療法を試したがそれほど効果はなかった。当時、休みでドイツに帰っていた彼が鍼灸を一度行うと、祖母の食欲が戻り、無名さんの治療により快復した。新型コロナウイルスが流行していた時、彼は家族に漢方医の予防・治療方法を教え、家族は感染と回復期を無事に乗り越えることができた。

     無名さんは、「以前は遠く離れた海外で漢方医を学ぶことを家族に理解してもらえなかったが、漢方医の効果を知り、認識が完全に変わった。海外で漢方医を広める自信がついた」と感慨深げに言った。

    無名さんは今後について、「ハイクオリティな中英2カ国語の動画を撮影し、国内外のサイトで漢方医とその背後にある中国哲学を紹介したい。鍼灸、推拿、カッピングなどの漢方医の治療法を知っている外国人もいるが、実際は漢方医についてよくわかっていない。外国人が理解できる言葉と受け入れやすい方法で漢方医を紹介し、漢方医の魅力を伝えたい」と話した。

「中国網日本語版（チャイナネット）」2023年7月11日