ストライキによりフランスでの五輪開催が危ぶまれていた頃、深センの企業は「中国の速度」によりパリ五輪会場の建設完了を支えた。「世界の商品の都」と呼ばれる義烏は生産のスパートをかけ、パリにマスコットや五輪関連商品を次々と提供し、多くの先進的なスマートスポーツ設備も輸出した。BYDの電気自動車(EV)やハイアールの家電なども五輪選手村に入り、中国の工業大国としての力を示した。香港誌「亜州週刊」が5日、伝えた。
国際オリンピック委員会(IOC)のグローバルパートナーである阿里雲は、オンライン中継権を獲得しただけでなく、パリ五輪に大量のAIハイテクを導入し、世界の観客を驚かせた。中でも特に「バレットタイム」(大量のカメラで被写体を取り囲み同時に撮影することで、SF映画のような視覚効果を発揮。スローモーションやストップなどの特殊効果画面を表示)が最も注目されている。これは五輪の中継体験の大きなイノベーションだ。
IOCはまた、阿里雲の能耗宝を35の競技場に設置。能耗宝は会場の電力消費、緊急時の電力の需要、会場の容量、競技情報、現場の気象状況を一つに集める。またクラウドデータ及び阿里雲のディープラーニングAIモデルによりより正確な分析を提供し、会場内の特定エリアに電力関連の予想と提案を提供する。
中継中には選手の動きの捕捉も、科学技術力を示す見所となる。これも同じく中国企業によって処理される。卓球とアーチェリーの2競技の中継では、商湯科技のスマート競技中継技術が採用された。体に装置を取り付けることなく、3Dセンスレスモーションキャプチャー技術により復数人、広範囲、マルチアングルのシーンカバーを実現。空間運動姿勢情報をリアルタイムで取得する。カメラは自動で選手の動きを捕捉し、かつ回転速度の可視化、移動軌跡の描写、玉の落下点の表示といった機能を実現できる。卓球の落下点、カーブの方向、矢の飛行軌跡をテレビの前の観客に示す。
また「商湯日日新5.5」はバスケットボール中国代表のAIスマートバスケットボール関連製品の生産をサポート。百度AIサービス「百度文心」は飛び込み中国代表の練習をサポート。レノボAIPCはセーリング中国代表に動作の分析を提供。
VAR(ビデオアシスタントレフェリー)のファウル判断の精度とスピードについて、パリ五輪のサッカーボールにはチップが内蔵されており、毎秒500回の接触を記録できる。センサーのリアルタイム感知により、肢体追跡技術と合わせ選手のハンドやオフサイドなどの判断をアシストし、判断の精度と透明性を効果的に高める。このサッカーボールのチューブは江蘇省淮安市の頂碁運動用品公司が生産。同社の周宏達総経理の説明によると、チップは競技場の選手の状態(身体能力など)を非常に迅速に分析できる。
また柔道やレスリングなどの競技に用いられる2000枚以上のマットは泰山体育が生産。すべてのマットに10ミリ未満のチップが内蔵されており、選手の力やスピードなどの情報をリアルタイムで収集できる。
精密な工業製品が大活躍