世界初の人型ロボットハーフマラソン大会が19日、北京市の亦荘で開催された。科学技術イノベーションの成果を観客に披露すると同時に、一部のロボット選手がふらつきながら歩く場面もSNSでシェアされた。あるロボットは疲れて頭が取れ、テープでつけて走り終えた。あるロボットはよろめき、数歩だけで転倒し動かなくなった。あるロボットはスタート開始直後に柵にぶつかり即退場となった。
ハーフマラソン大会のロボットは想像したほど優れていなかったようで、一部のネットユーザーを失望させた。これについては理解しやすい。イノベーションは常に「無人地帯」を走るものだ。一部の未来産業もそうで、参考にできる先例やモデルが少なく、一歩ずつ手探りで進むしかない。スペースXのスターシップが爆発しながら再生し、中国の新エネ車が疑問の声の中から誕生したように、根本的な変化をもたらす技術の成熟には試練の時が必要だ。「転倒」は必然的に一部の疑問視と嘲笑を招く。
1804年に初の蒸気機関車がレールの上を時速8キロという亀のようなペースで走行した時、多くの傍観者は「馬車より遅い」を嘲笑った。エジソンが改良した白熱電球が1879年に弱々しい光を放った時、ガス灯会社は「一瞬だけの玩具」と皮肉った。技術の歴史を振り返ると、人類文明の歩みを変えるブレイクスルーの「一歩目」は、ふらつきながら踏み出すことが多い。ところがこれらはすでに現代文明の礎になっている。
この歴史の深みで問題を見ると、マラソンコースでふらつき、足取りが頼りないロボットに自信を持ち、寛容になれる。問題発見は恐ろしいことではなく、転ぶのが怖いからといって歩みを止める方が恐ろしいことだ。科学技術イノベーションは人が歩き方を学ぶのと同じく、まず転び方を学ぶ必要がある。発展の正しい方向を見つけようとするならば、問題は最高のコンパスだ。
北京亦荘のこの「人とロボットのハーフマラソン」の全長は21キロ以上。これは二足歩行の人型ロボットが約25万回の精密な関節運動を終える必要があることを意味する。合計で14のカーブを曲がり、曲がる角度は90度以上。ロボットは正確なルート計画と柔軟に曲がる能力を備える必要がある。この長距離と複雑性が共存するシーンは、人型ロボットにとって究極のストレステストと言える。
テストは成長を目的とする。業界関係者が、「走り切ったロボットは尊いが、途中退場の故障データも千金に値する」と述べた通りだ。ロボットの転倒では、関節構造を改良する秘訣が記録される。発煙したモーターは放熱技術のブレイクスルーを迫る。途中での停電はエネルギー管理のイノベーションを促す。そのためメダル獲得は目的ではない。より重要なのは走りながら技術とハードの問題を解消すること、ロボットが実験室から工場へ、さらには生活サービスシーンに進出するための産業の問題を解消することだ。この見地に立つと、ロボットがよろめきながら踏み出した小さな一歩は、産業発展の大きな一歩だ。ロボットの完走は終点ではなく、技術のさらなる最適化や産業チェーンの持続的な協同イノベーションのスタートラインだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年4月28日
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