序奏から第一樂章に入った上海万博

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発信時間: 2010-05-10 17:28:13 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

林国本

上海万博もすでに開幕後十日間以上が過ぎ、開幕前の「擬似見学者」による数回の予行演習で、小さな不具合も上手に調整し、一応スムーズに行っているようなので、主催者側もホッとしていることだろう。

このところ毎日のように会場の模様がテレビでオンエアされており、国民の間でも万博の話題で持ち切りだ。先般、北京市による大がかりな「北京週間」プレゼンテーションとエンターティンメントも成功裏に催され、これからは全国各省、自治区、直轄市のものも次々にくリひろげられ、ますます盛り上がることであろう。国外のものとしては、アメリカのフィラデルフィブフィルハーモニーの公演があり、まさに何でもありで、入場者達も応接に暇なしの感をかみしめているのではないだろうか。

順調なすべりだしは、喜ばしいことだが、ここで気をゆるめてはならない。長江以南地域は梅雨の季節を迎えることになり、雨天が続くことになるかもしれない。会場をながめてみると、雨やどりのできる施設が、十数万人の入場者数からみると足りないようだ。そして、その後には台風の季節もやってくる。北東の方向にそれるものは上海に影響を及ぼすことはないだろうが、浙江省中部あたりに上陸するものは、往々にして上海に雨をもたらす。数年前には浦東の一部地域で浸水が発生したこともある。ころばぬ先の杖ということわざがあるように、会場内の排水施設を今のうちから点検しておく方がよいような気がする。

さらに、7月に入ると、小学校、中学校、大学が次々に夏休みに入る。かなりの学生たちが勉強のために、帰省の途中に万博を見学しに来ることも考えられる。学生向けの格安の宿泊施設その他の準備を今のうちから考えておいてもよかろう。

これまでの報道をみていると、万博そのものの紹介に重点が置かれているようだが、中国の他の地方から来る人たちには長江デルタ地域についても知ってもらうことが不可欠である。

日本のメディアの論調をみていると、今回の万博を「学びあい」の好機にすることを強調しているが、私もこれには賛成である。環境技術、省エネ技術をめぐって、諸外国の進んだものを見るだけでも、いい刺激になるし、また、中国国内においても、各地域同士の学びあいの好機である。

今度の五月の連休に上海へ行ってきたが、上海の町もかなりきれいになったような感じがした。車の窓から見たに過ぎないが、あちこちに日本料理店があるし、私の子供の住んでいるところには日本人小学校もあり、日本の商品を売っているスーパーもある。あちこちにローソンのお店もある。つまり、かなりの日本人がビジネスその他で上海で暮らしているのだ。ホテルなどでは日本語のフリー・ペーパー、タウン・ペーパーがおかれているし、まさに国際都市上海である。

市民たちのなかには、今の熱気もさめるのではないか、という人もいるが、私はオリンピックも、万博も、中国の近代化のための通過点であり、必ず国民全体のレベルアップに寄与するとみている。現に北京ではオリンピック以後、市民のマナーもよくなったようだ。もちろん、一朝一夕に理想的なレベルにもっていくことはムリな相談だが、私が感心していることを一つだけあげておきたい。今まで、北京のバスの中ではよく、足を踏まれたとかで、口汚い、ののしりあいを耳にしたものだが、この一年間私はまだそういう場面に出くわしたことはない。

これは些細なことのようで、ある面では民度の向上を物語っているのではないだろうか。中国人の「恥」をあばくようでよくないかもしれないが、たとえば東京の地下鉄の中で、傍若無人に大声で話し合っているのはほとんど中国人(私も含めて)だ、という日本人がいた。それを考えると、北京市民のマナーはだいぶよくなったといえよう。

そういう意味で、今回の上海万博もすばらしい通過点になるに違いない、と思っている。

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年5月10日

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