「田子坊」には世界各国からアーティストなどが集まり、時代を感じさせる昔ながらの建物に、アトリエやカフェ、バー、レストラン、雑貨店などが入居し、独特の趣あるエリアになっています。「田子坊」と書かれた路地を入って行くと、古い工場跡地や倉庫を改装したショップが立ち並んでいます。突き当りを左に曲がったところの壁には、「元・上海新興皮革工場皮革切断場跡地─1958年」というプレートが残されていますが、今では画家やデザイナー、写真家、陶芸家のアトリエや、カフェ、レストランに変わりました。お店の外観にはそれぞれ創意と工夫が凝らされています。
田子坊は泰康路にあります。かつてここにあった工場や使用されなくなった倉庫は、次第にアトリエに変わっていきました。石庫門の路地に暮らす庶民の住まいも徐々にSOHOの色合いを帯びはじめ、芸術の息吹が感じられるようになっていきました。
2万平方メートルの広さを持つこのエリアに、ビジュアルアート、工芸アート、室内デザインなど100以上のアトリエやスタジオが集まっています。アメリカや日本、ベルギー、フランスなど18の国と地域からのデザイン・スタジオがあり、「上海のSOHO」と呼ばれています。
奥へと進んで行くと、工場跡地を通り過ぎ、住宅エリアになります。レンガ造りの壁、石の彫刻、黒い木の扉・・・これらはすべて石庫門と呼ばれる上海独特の建築様式の特徴です。1930年代、戦乱を避けるために多くの人が上海租界へと逃げ込み、西洋建築と江南地方の民家建築を融合した住居を多く建てました。石庫門という名前は、「石箍」(せっこ)、つまり石のたがで扉を止めたことが由来になっています。
「北京週報日本語版」2010年5月25日