エアコンの設定温度は例年より明らかに高く、資料袋は繰り返し使用できるエコ布袋に――。ボアオ・アジアフォーラムを例年取材している国内外の記者は、今年の総会が細部までエコロジーに配慮している点を強く感じた。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。

ボアオ・アジアフォーラムの国内外の出席者たちは「中国は積極的な気候変動対策を講じている。政策の策定、法整備、産業構造の調整、省エネ製品と省エネ技術の普及、全社会的な省エネとエコロジー文明理念の提唱など、多くの手段と措置を講じて、省エネと排出削減を力強く推し進め、責任ある大国としてのイメージを存分に示している」との認識だ。

気候変動がすでに地球規模の最大関心事となっていることは間違いない。人類による過去1世紀余りの大量生産と生活活動が招いた地球温暖化問題は、人類そのものの生存に深刻な脅威をもたらしているのだ。

「私たちは地球全体の温度を安定化させる解決策を見出さなければならない。特に発展の中でもう1つの道を見出すことが必要だ」と、「気候変動に関する政府間パネル（IPCC）」のパチャウリ議長は指摘する。「この面において中国は責任ある大国であり、まさにこのために発展モデルの転換を進めている。私はこのことに非常に感動している」「中国は13億の人口を擁す大国で、多くの問題は解決が容易でない。だが中国政府は多大な努力を払っている」――。

「上海では、夏のエアコン設定温度を26度以上にするよう政府が定めている。中国銀行業監督管理委員会はエコ貸付政策を推し進め、高エネルギー消費・高汚染業界への貸付を厳しく制限している」――。香港上海匯豊銀行（HSBC）中国の翁富沢・頭取兼CEO（上海在住）は新華社の取材に「気候変動対策の面で中国はすでに責任ある大国だ。中国は多くの分野で西側諸国すら遠く及ばぬ先を行っている」と指摘した。

中国は気候変動問題を強く重視しており、温家宝総理自らが「国家気候変動対策、省エネ・排出削減作業チーム」を率いている。中国は「国連気候変動枠組条約」を積極的に履行し、「中国気候変動対策国家プラン」を打ち出し、科学的発展観の要請に照らして資源を節約する環境にやさしい社会を建設することで、地球規模の気候変動への対処能力を引き上げている。

中国の第11次5カ年計画（2006～10年）綱要は、2010年までに単位GDP当たりのエネルギー消費量を約20％引き下げ、主要汚染物質の排出総量を10％削減するとしている。各級地方政府は先を争うようにして「一票否決」など省エネ・排出削減の問責制度を導入し、上級政府に「任務完遂」の誓いを立てている。

オーストラリアのマイケル・ジョンソン連邦議員は「中国は政策を決定する際、環境保護と気候変動を非常に重要な位置に据えている。私たちは中国が環境保護と気候変動問題を重視していることに深く敬意を表する」と述べた。

中国は長年にわたりマクロ調整を続けている。現在は循環型経済の発展に力を入れ、エネルギー資源の利用効率を引き上げ、高エネルギー消費・高排出業界の急激な成長を抑制し、電力・製鉄・建築資材・電解アルミ業界などの立ち後れた工場の淘汰を強化し、10大重点省エネ事業を実施し、標準石炭換算2億4000万トンの省エネ能力を形成し、省エネ・排出削減技術の産業化とその普及を加速している。

中国は昨年、1438万キロワット相当の小型火力発電ユニットを停止し、発電時の石炭消耗率を大幅に引き下げた。今年はさらに1300万キロワット相当の小型火力発電ユニットを停止するほか、セメント5000万トン相当、鋼600万トン相当、鉄1400万トン相当の立ち後れた工場を淘汰する。

大型で高効率の発電ユニットの設置と小型火力発電ユニットの停止により、発電時の石炭消耗率は大幅に引き下げられた。5年間で26グラム/キロワット時引き下げられ、年間1億トンの石炭の節約となった。

中国はさらに省エネ・排出削減の支援税制も制定。政府が指導し、企業を中心となり、社会が参加する省エネ・排出削減体制を構築した。中央政府は2010年までに多額の補助金を投じ、省エネ照明器具を1億5000万個普及させる計画だ。

すでに多くの措置が成果を上げており、昨年、中国の単位GDP当たりエネルギー消費量は3.27％下がり、標準石炭換算8980万トン相当の資源が節約された。

一方で専門家からは「中国は気候変動対策と省エネ・排出削減においてすでに喜ばしい成果を上げているが、その目標の全面的な実現にはなお多くの困難と障害を抱え、気候変動対策は依然として『任重く道遠し』であることを直視しなければならない」との声も上がる。

「人民網日本語版」2008年4月14日