中国科学院昆明植物研究所の許建研究員率いる研究チームは、温暖化によって青蔵(チベット)高原の高地寒冷草原の植物の生長時期がずれて生長期間が短縮し、1年のうち牧草が足りなくなる時期が出てくる恐れがあると発表した。10月付「科技日報」が伝えた。
これまでの研究で、地球温暖化により、多くの植物の春の季節現象が早まるものの、約4分の1の温帯植物はこの法則に当てはまらないと指摘されている。研究チームはリモートセンシングを利用して1982年から2006年の青蔵高原の植物の季節的な変化をシュミレーションしたほか、高地寒冷草原の植物の生長日数および月や気温との関係を分析した。その結果、気温は上昇し続けているにもかかわらず、80年代前半から90年後半には植物の生長の時期が早まり、その後は延びた。気温の上昇により、寒冷な季節の到来が遅れ、秋の植物変化が目立たなくなっているものの、この地域の植物の生長期間は2000年から2006年にかけ3週間、あるいはそれ以上縮まった。
冬の気温上昇により、植物の低温による休眠期間が延び、草原に新緑が芽生え始める時期が遅くなる可能性がある。このまま気温が上昇していくと、多くの植物の生長期間が延びている今の現象が逆転し、植物の生長期間が大幅に短縮する恐れがある。もしそうなれば、青蔵高原の遊牧民は1年のうち牧草が足りなくなる時期がでてくる。(編集KA)
「人民網日本語版」2010年12月10日