国連の世界気象機関(WMO)は16日、今年のエルニーニョ現象はこの15年で最も強く、すでに深刻な干ばつと洪水を起こしていると発表した。
エルニーニョ現象は2−7年毎に発生する。WMOによると、今年の数カ月前から始まるエルニーニョ現象は成長し勢力を増しており、年末にはさらに猛威をふるうことが予想されている。
WMOのミシェル・ジャロ事務局長は声明の中で、「熱帯地方と亜熱帯地方が見舞われている深刻な干ばつと壊滅的な洪水は、今回のエルニーニョ現象の特徴を持つ。今回のエルニーニョ現象は過去15年間で最強だ」と発表した。
WMOによると、今年は太平洋中東部の表面海水温が例年を摂氏2度上回り、1950年以降で4番目の強さとなっている。1−3番目のエルニーニョ現象は、1972−73年、1982−83年、1997−98年に発生していた。
【幅広い影響】
エルニーニョ現象は太平洋の表面海水温が上昇することによって生じる現象で、世界の一部の地区で降水量を異常に増やし、一部の地区で異常な干ばつを引き起こす。この現象の影響を受け、インド、インドネシア、オーストラリアなどは乾燥し、東太平洋および南米諸国では降水量が増えている。
干ばつも洪水も、農作物の減産を引き起こす。WMOは先週、エルニーニョ現象により飢餓人口が大幅に増えると警鐘を鳴らした。WMOは、スーダン、エリトリア、エチオピア、ジプチなどが今年干ばつに、ケニア、ソマリア、ウガンダが洪水に見舞われる可能性があると予想した。
しかしジャロ事務局長は、「世界は今年、例年より良く備えている。世界・国家・地方レベルで、かつてないほどの取り組みが進められている。幅広い災害対策により、多くの命が救われ、経済損失を最小限に抑えることができる」と話した。
WMOは今年のエルニーニョ現象を、太平洋の「非常に活発な熱帯低気圧」と関連付けている。これには先月、メキシコ西海岸に上陸した観測史上最強のタイフーン・パトリシアが含まれる。
研究者は、エルニーニョ現象などは気候変動によって生じるものではないが、地球温暖化による表面海水温の上昇がその強さと頻度を高めると述べた。
ジャロ事務局長は、「この自然発生的なエルニーニョ現象は、人類による気候変動と影響し合い、これまで経験したことのないような形式により変化し合う可能性がある。エルニーニョ現象の発生前も、世界の平均表面海水温が過去最高を記録していた。エルニーニョ現象はさらに水温を上げている」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年11月21日