2010年は中日関係の歴史において転換の年であった。日本の対中国外交を「戦略的互恵」から「戦略的抑止」へと転じさせたのは何だったのか。鳩山元首相が米国と今年5月28日に調印した共同声明がやむを得ない状況下での受動的なものだったと言うのであれば、菅直人内閣が米国と共同で中国を抑止する戦略方針を二度にわたって主体的に選択したことである。小泉政権期に損なわれた二国間関係を修復するために中日両国の国民が数年来努力してきた成果は水泡に帰し、その結果もたらされた悪影響は数年間は続き、日本が中国の台頭に対して平常心を持てるようになるまでなくならないだろう。したがって、中日関係悪化の原因は今年発生した「船舶衝突事件」と釣魚島をめぐる領土争いではなく、日本が対中国外交戦略の変更を決定した結果なのである。