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ベテラン翻訳家林国本氏との対話
発信時間: 2008-07-18 | チャイナネット

 

 プロフィール 日本在住の華僑の家に生まれ、18歳のときに帰国。北京週報日本語版で1963年8月の創刊から定年で退職するまで、中文日訳の仕事に30数年間たずさわってきた。定年退職後、チャイナネットと「北京週報日本語ネット版」で専門家として仕事を続ける。1986年から1992年まで「北京週報」の駐日記者として6年間日本に滞在。1980年以降、政府文献の翻訳、校閲に参加。さまざまな国際会議の通訳の仕事に参加。日本で翻訳(共訳を含む)10冊を出版。政府要人の通訳にも参加。

チャイナネット 林さんは華僑の家に生まれ、18歳の時に帰国されたとうかがっておりますが、林さんのこれまでの人生で、最大の資産は何だと思いますか。

 私の父は浙江省の貧しい農民でありました。同じ村の何人かが海外でひと旗あげ、財を成し、村にもどって、何人かの若者を国外に連れていき、そういうことで、私は華僑の二代目となったのです。

以前、華僑は国外では「三等公民」というか、政治的地位もなかった訳で、私はこういうことに非常に敏感で、商人として一生を送ることは、たとえ生活が豊かであったとしても、生きがいを感じることのない人生で終わることになるのではと悩み続けました。私は子供の頃に、「アンデルセンの童話」、「グリム童話集」を読み、こういうすばらしい翻訳ができるようになればと夢を描いていました。その頃はまだ夢のまた夢でした。のちに、私は国に帰ってきました。自分の人生を商人として過ごしたくなかったからです。

チャイナネット すると、子供の頃から翻訳家になりたかった訳ですね。

 いや、その頃はまだ翻訳家になるなんて考えていなかったのです。ただ、将来、翻訳の仕事でもして、ホワイトカラーとして人生を過ごしたいと思っていたのです。フリーの翻訳家でもいいし、必ずしも会社勤めということではなかったのです。

チャイナネット 翻訳という仕事は、一生をかけてする仕事なので、林さんの夢がかなったわけですね。これは生易しいことではありません。かなりの人たちにとって、少年の頃になりたいなあ、と思っていても、結局、たずさわっている仕事は少年の頃の理想ではない、というケースがたくさんあります。林さんにとって最大の収穫は何ですか、翻訳がもたらしてくれたものは何でしょう。

 今からふり返れば、頭の中にユニークな内部モデルででき上がっていることです。翻訳で必要なことには、おかげですっと入って行けるのです。この内部モデルは私にとって大きな財産です。これはお金より大事なものです。

チャイナネット 林さんは、翻訳の仕事の中でいろいろなことをやってきたようですね。当初はスポーツ関係の通訳の仕事を、最も長かったのは「北京週報」の仕事ですね。

 「北京週報」日本語版の創刊から定年で退職するまでいました。

チャイナネット 長い人生の中で最大の収穫は何ですか。挫折したことはありますか。

 たえず前進し続けることは、これが最大の収穫です。最近は少年時代の持病ぜんそくが再発しているのですが、それでもたえず勉強を続けています。日本語には外来語がたくさんあるので、英語の勉強も続けています。

チャイナネット 昔、厳復という人が翻訳における「信、達、雅」ということを言っていましたが、林さんはこの三つの字のどれが一番重要だと思いますか。

 三つとも重要です。政府の文献などでは、忠実に訳すことが大切ですが、文学作品の場合は違います。

チャイナネット 今の若者たちに何かアドバイスでも。

 自分の感性に一番合ったものを、とことん掘り下げること、そして自我を確立することです。基礎をしっかり身につけることが大切です。

今の若者たちは、インターネットでこまぎれになった知識をたくさん勉強していますが、体系的なものの勉強も必要で、カラオケなど遊びもいいのですが、孤独に耐えて勉強することも必要です。

チャイナネット 今の若者たちにとっては、落ち着いてじっくり勉強することが大切です。孤独に耐えて一業を成就することが林さんの経験談ですね。

 魯迅がかつて言ったように、他のものがコーヒーを飲んで呑気に休んでいるときでも、勉強を続けることです。

チャイナネット 翻訳という仕事は国と国の間の交流において相互理解を深める上で重要ですね。

 要するに、私は「三等公民」として人生を終えることにノーと言って、この人生を歩んできたのです。私の99%の同窓生たちは一商人として人生の大半を過ごし、それなりに悠々自適に暮らしています。結局、私は一種の変人なのかもしれません。良く言えば、理想主義者なのかもしれません。

(日本語訳の個所は、林氏本人が加筆、調整した。)

「北京週報日本語版」2008年7月18日

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