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チャイナパワーと日中経済関係
発信時間: 2008-05-21 | チャイナネット

日本貿易振興機構海外調査部主任調査研究員 江原 規由

4月号の特集のキーワードである「チャイナパワー」を中国風に言うと、「気」の一語がふさわしいと思います。『覇王別姫』の名場面で、楚の項羽が「気は天を覆う」とうたったあの「気」です。今、チャイナパワーは世界を覆いつつありますが、ここでは、まず日本との経済関係からチャイナパワーを捉えてみたいと思います。

 

発展のカギは中国の対日投資

最近発表された2007年の日中貿易(注1)をみますと、中国が米国を抜いて初めて、日本にとって最大の貿易相手国になりました。輸入で一位、輸出で二位という結果ですが、これに大きく関わっているのが中国に進出した日本企業です。

日系企業向けに原材料・部品、中間財(半導体、電子部品、乗用車の部品など)を輸出し、その完成品(携帯電話、デジタルカメラなど)を輸入するというパターンが、日中貿易の拡大(9年連続して過去最高)を支えてきました。しかし最近、日中貿易は明らかに変化しつつあります。その点をまずデジタルカメラを例にとって説明しましょう。

一眼レフなどの高級タイプの中国への輸出、普及タイプの中国からの輸入が大きく伸びています。デジカメに限らず、完成品の輸出入といった水平貿易が、日中貿易で目立ってきています。近い将来、日本の道路を走る中国製乗用車を見かけるようになるのではないでしょうか。その車は、外資との合弁であったり、民族ブランドであったりするでしょう。

日本企業による対中投資が日中貿易の拡大を支えてきたわけですが、その対中投資は2006、2007年と2年連続して前年比大幅減となりました。2年間でほぼ半減という落ち込みようです。

2007年に実施されたある調査(注2)によれば、中国で日系製造業企業が今後「事業を拡大する」とする比率は66%と、決して低くはないのですが、2004年の調査では8割であったことから、毎年その比率は減少しているという結果が出ています。日本の対中投資は一巡したといわれ、とくに製造業ではこれまでのような大きな伸びは期待できない状況です。

幸い、富裕層の拡大、消費刺激策、輸入促進策などを背景に中国市場が拡大しており、高級デジカメや日本製乗用車などの高級品の対中輸出は好調だったわけですが、今後、日中経済交流の発展のカギを握るのは、中国企業の対日進出でしょう。日中貿易は垂直貿易から水平貿易へと相互依存関係が深まる一方、投資は日本から中国へのほぼ一方通行です。

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