資源に恵まれない島国が築いた驚異的な富

司馬遼太郎さんの旧居を出てから1時間ほどで、周囲を海に囲まれた関西空港に着いた。関西空港は海を埋め立てて建設された。空港ターミナルビルの足元まである大きな窓からは、飛行機、滑走路、海、空港と対岸を結ぶ連絡橋、対岸の建物や山々が望め、視界を遮られずに遠くまで見渡すことができた。

日本は資源に恵まれない島国であるが、世界第2位となる驚異的な富を築き上げた。

現在の日本では、モダンと伝統、都市と自然、政府と国民という対立する概念が調和して存在している。日本の街で軍人や軍用車を見かけることはなく、私服の「城管（治安維持要員）」はもちろん、パトカーや警察もめったに目にしなかった。また、ゴミが散らかり、広告があちこちに貼られ、スローガンが掲げられるといった光景も見られなかった。だが、夜になると東京では、数十人の浮浪者が勝手に地下鉄駅の通路にダンボールで仮の寝床を作り、まるで自宅の裏庭で寛いでいるように見えた。国会議事堂の斜め向かいの場所では、数十人が道に沿って1列に並び、建設現場に向かってハンドスピーカーで声を張り上げ抗議活動をしていた。数十メートル離れた国会議事堂の門周辺はいつもと変わらず平穏で、特別警戒措置をとる様子もなかった。

日本は歴史的にも現実的にも中国と根源的に深く結びついた国で、中国の文化と制度を発展の道標としていた時期もあった。橋本内閣と小泉内閣で首相補佐官を務めた岡本行夫さんは「歴史および文化面から見て、日本人のDNAには中国的要素が含まれている」と述べていた。

だが、近代以降、こうした中国と日本の関係に大きな変化が起こった。日本は中国が現代西洋思想と文化を学ぶ上でよいお手本となる一方で、中国の最大の敵および加害者となった。1979年以降、日本は中国の戦争賠償請求放棄に対する補償として経済援助を行い、中国にとって最大の経済援助国となった。2006年以降、中国は日本にとって最大の貿易相手国となっている。ただし、残念なことに、両国の人々の間には依然として戦争が残した心の傷跡が存在し、大きな溝となっている。だが、この溝が永遠に私たちの心の奥深いところに横たわり続けることはないだろう。（連載完）

｢チャイナネット｣　2009年5月30日