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稲盛和夫氏「不況は成長のチャンス」
発信時間: 2009-06-24 | チャイナネット

第一に、全員で営業すること。不況に直面したとき、まず強調すべきことは全員で営業することだ。企業の各部門がふだんから持っている良いアイデアを不況時に実行に移せば、役に立てられる。

第二に、新製品開発に全力を尽くすこと。好況期には忙しくて開発する時間がなく、また取引先の意見を聞く時間もない製品を、不況期には積極的に開発できる。そしてこれには技術開発部門だけでなく、マーケティング、生産、市場調査などの部門がすべて積極的に参加し、共同で開発しなければならない。

第三に、コストを徹底的に削減すること。不況期には、企業の注文書の数量、製品の単価が下がる一方、競争がますます激しくなる。以前のままのコストでは必ず損が出る。人件費は勝手に引き下げることができないため、一人一人の仕事効率を高める以外は、さまざまな費用を徹底的に削減するしかない。

第四に、高い生産性を維持すること。不況期には高い生産性を一貫して維持しなければならない。余分な人を生産ラインから離れさせ、彼らに集中して勉強させるか、もしくは仕事場の整理作業をさせ、景気回復に備える。それと同時に、生産現場に必要な最少限度の人員を残して、最も忙しい時と同じような緊張感のある雰囲気を保ってこそ、過去の高い生産効率を維持できる。

第五に、仲間としての人間関係を構築すること。困難な局面では、企業の実力が試練を受けるとともに、人間関係も試される。苦楽を共にできる人間関係をすでに構築したのかどうか、上と下が心を一つにするという企業の気風はすでに形成されたのかどうか、こうした意味から言えば、不況は企業の良好な人間関係を調整、再構築する絶好のチャンスだ。

講演後の質疑応答で、米国企業と日本企業の発展モデルのどちらが中国企業の飛躍に適合しているかと聞かれた稲盛和夫氏は、「米国には極めて多くの成功例があり、中国企業にとってたいへん参考になる。強調しなければならないことは、米国をはじめとする近代資本主義の発展の原動力は人の『欲望』であり、欲望があってこそ、科学技術の進歩、現代文明の発展があったということだ。アメリカ人は人の欲望を非常に重視しているが、過剰な欲望こそが今回の経済危機を招いたと思っている。企業は、欲望によっては長期的かつ持続的な繁栄を獲得できない。私はずっと中国の国学を学んでおり、大いに啓発された。経営テクニックについては、米国に学ぶことができるが、経営の心については、中国に学ぶべきだと思っている」と答えた。

 

稲盛和夫氏プロフィール

1932年鹿児島県生まれ。1955年、鹿児島大学工学部卒業。1959年、京都セラミック株式会社(現京セラKyocera)を設立。1984年、第二電電株式会社(元DDI、 現KDDI)を設立。この2つの会社はそれぞれ世界トップ500企業だ。

「北京週報日本語版」2009年6月24日

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