「心の汚れを洗い流され、力が沸いてくる作品です」。映画「泣きながら生きて」のポスター脇に設置されたメッセージボードは、こういった感想で埋め尽くされた。
東京新宿の丸の内百貨店9階にある映画館で、日本で生活する中国人の葛藤を描いたドキュメンタリー「泣きながら生きて」が11月28日、公開された。中日両国が共同制作したテレビ・ドキュメンタリーで、2006年11月3日に日本のフジテレビが放送後、ホームページに400万件以上のメッセージが寄せられるなど大きな反響を呼び、視聴者から再放送やDVD発売を望む声が絶えなかった。3年後、一人の大学生、中村俊喜さんのねばりと奔走によりついに映画化が実現した。
29歳の女性はメッセージボードに「心から感動しました。親元を離れて10年になります。同感する部分がたくさんありました。家族が恋しくなりました。今日帰って家族に電話をかけようと思います」と書いた。別の女性は「人間はみんな同じ。歯を食いしばり、涙を堪えるのは笑うための準備。そうやって次の世代へ受け継がれていく」とメッセージを残した。62歳の女性は映画を観た後、「3年前フジテレビで放送された時に見て、また見てみたかった。それに家族にも見せたかったんです。映画の中で父親が歯を食いしばって我慢する様子に真の男性の姿を見ました」と書き残した。
「父親の家族に対する愛情を感じました。娘が父親の粘り強さに影響されて夢を実現しますが、こういった経験は僕たち学生にも同感する部分があります。自分を応援してくれる両親に感謝します。僕の夢を実現することが最大の親孝行だと思います」。17歳の男子高校生は心の底にあった気持ちを書いた。
この作品にどうしてそこまで固執するのか?中村俊喜さんは、2008年の大学三年の時に就職活動を始め、友人の勧めでネットで「泣きながら生きて」を見て感動したことを語った。それから真剣に「仕事とは何なのか?」と考えるようになったという。「この作品を見るたびに、心が猛烈に震え、涙が止まらなくなる。自分と弟のために一生懸命働いている両親への感謝の気持ちが深まった」と話す。来年4月に社会に出る中村さんは、まじめに仕事に向き合いたいと決意する。「『泣きながら生きて』というすばらしい作品を消えてなくならせてはいけない。もっとたくさんの人に見てもらいたい」というのが中村さんの心情だ。
「人民網日本語版」2009年12月2日 |