東証一部上場企業「Softbrain」創業者・宋文洲さん

東証一部上場企業「Softbrain」創業者・宋文洲さん。

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発信時間: 2010-09-16 16:53:24 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

■曖昧な日本 ストレートな中国

――この3ヶ月、中国の会社を相手にビジネスを展開してきたようですが、日本国内の営業活動と比べて感想はどうですか。

たいへん面白いことに、良くも悪くも日本企業よりは判断が速い。それから、経営者は若い人が中心です。ですから色々いい訳をしたり、くどくどしく話をしたりはしない。もちろん、企業が大きいと、トップの決断だけでは話が決まらず、下の部門の合意も得る必要がありますが、でも、人と会う時は曖昧な言い方をしない。問題点をはっきりさせて、その問題が解決できるかどうかをちゃんと言ってくれます。その点、日本よりはストレートなので、ストレスが少ない。ダメなものはすぐダメだと分かります。その点、日本は全体的に曖昧で、その時にダメなのか、将来がダメなのか分かりません。

――ということは、中国と日本とで、ビジネスのやり方が違うということを心がけているのですね。

そうですね。お客様も違いますし、営業マンの個性も違っています。日本の営業マンはまじめで安心できる人が多いですが、自らでものを考えて、お客様を開拓して、お客様の中に入り込んでいく人もいますが、数として少ないです。

中国の場合は日本の社員のようにまじめに朝、出勤して、夕方に会社に戻って、残業して帰る人は少ないです。出社時間に遅れてきたり、営業があると言ってまだ4時なのに帰宅してしまう人もいます。そういうのを分かっていながら、それでよいと思っています。

というのは、4時に最後の営業が終わって、1時間かけて会社に帰ってきて、何もしないで、適当にレポートを書いて、また1時間かけて帰るというのでは、3時間もかかってしまいます。この間、何も生まれてこない。社員が疲れるだけです。そうならば、むしろ、速く帰ったほうがよいです。

営業が終ってついでに会社寄ればいいけど、寄れないなら、無理して会社に戻ってきて、頑張っているポーズをとらなくても良いと思っています。

――言い換えれば、柔軟に管理しているということですね。

社員は時間によって効果が出るのではなく、実際の行動で成果が生まれてくるから。お客様にとって、何も利益が生まれてこないことなら、やらなくて良いと思います。

日本にいる時は、社長の私が社員に「早く帰ってください」と言っても皆、帰りません。会社に戻って報告するのと、残業するのがなんとなく文化になっています。

■日中は相互補完で強くなれ

――ソフトブレーン社の主力製品である営業サポートソフトウェア「eセールスマネージャ」を導入したクライアントから、「中国流営業に、営業プロセスを分析する日本流をプラスした組織作り」に役立っていると評価されたようですが、ビジネス展開の視点から、日本と中国の強みと弱みはそれぞれどこにあると見ていますか。

経営の視点から見ますと、日本の強みは継続性です。何十年間もずっと研究開発を重ね、人材流動性が低いお陰で、良い人材をじっくり育てられる。しかし、一方、それが裏目に出ていることもあります。

ずっと継続しているということはつまり、悪いことがあってもなかなかやめられない。革新する力が弱い。人材もじっくり育成されてきて、長く染まってきたため、転用が難しい。マーケットは急に変わるものなので、その人材の価値があっという間になくなる場合があります。たとえば、活字をつくる技術者が昔、日本にたくさんいましたが、コンピューターの時代になると、一瞬にして職人系の活字技術者はいらなくなりました。同じように、ビジネスの習慣も今の時代では古くなったものでも、過去は良かったという習慣で、長く続いていたせいで、なかなか変えるのが難しい。

一方、中国の企業はまだ歴史が浅いため、前向きで過去にこだわらないところが強みですが、手っ取り早く儲けることに興味があって、長期投資しない、人材育成もしないという短所があります。だから、ブランド形成しにくいし、製品も付加価値の低いものに集中してしまいます。目先のことでせい一杯で、蓄積できず、なかなか、産業の高度化ができない会社が多いです。

――中日双方にそれぞれ弱み、強みがありますが、双方がうまく融合できるといいですね。

日中の文化の違いはなかなか乗り越えられませんが、企業においては、たとえば、日産と中国東風の合弁などは見事にやっている例だと思います。販売とマーケティングは中国の責任者が担当し、職人技の必要な製造は日本が担当する。日中の協力は難しいけれど、うまくやれれば非常に強くなって、成功すると思います。協力によって長所を引き出し、短所を抑えることができると思います。

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