(二)日本国民の価値観が戦力になる
日本国民は貯金することが好きだと言われてきたが、今の国民貯蓄率は2%にまで下がっており、もはや債券を購入する資金源にはなり得ない。どちらかと言えば、空売りのチャンスを与えているようでもある。しかし、日本の金融機関や企業には十分な資金力があり、対外投資も勢いが良いので、頼れる購買力となる。
金融機関も企業も市場の経済規則に従って行動するため、もし、政府の国債を見限って購入しないというようなことがあれば、政府はすぐに財政収縮を行い、余分な支出を減らし、より安全な体制を構築するだろう。しかし、金融機関も企業も政府とは「同じ船」に乗っているため、国債を購入しなければ、国債は大幅に下落し、金融機関の主要な資産、優良資産はたちまち不良資産と化してしまう。日本銀行の総資産額に対する自己資本比率が、国際統一基準の8%に満たなければ、国際決済銀行の規定により、国際市場から撤退しなければならず、国内基準の4%に満たなければ、日本の市場からも撤退しなくてはいけないので、すなわち倒産することになる。そのため、金融機関も企業も国債を買わないわけにはいかないのだ。
防衛策その一:外資による投機的売買・日本国債の空売りに対し、金融機関・企業と政府は運命共同体。
日本国民の価値観からすると、国外の攻撃に遭い国家が危機に瀕しているときには、国民はいつも必ず一致団結して立ち向かってきた。集団主義・団結は国民の価値観の本質なのだ。もし、外資による投機的取引や国債の空売りが日本を襲えば、国民はこれを「経済侵略」であると見て、闘争心を燃やして反撃に出るだろう。
防衛策その二:国民の個人資産を国債購入の味方につける。
国債の信用力はやはり、日本がどう言うかによる。近日、世界の有名な格付け会社が相次いで日本の国債を格下げしており、国際通貨基金(IMF)も日本は金融危機に陥る可能性があると警告した。しかし、日本はこれを「投機的売買を行なうための宣誓布告」と見て、動揺することはなかった。日本は自分たちの判断だけで動いているようだ。そのため、市場での日本国債の取引は、価格が下落することもなければ、投売りも起こらなかった。
防衛策その三:海外の投機的売買・国債の空売りに対し、日本は見ない振りをしているわけではなく、ちゃんと念頭に置いている。今は顔色を変えずにそっと行動して、海外が攻撃してくるのを待っている。どんなことを仕掛けても、日本はじっと耐えて国債を売らないだろう。
(金柏松 商務部国際貿易経済合作研究院・中国対外貿易研究部副主任)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年2月22日