17日、東京電力の勝俣恒久会長は、福島第一発電所事故の収束に向けた工程表を発表した。これによれば6~9ヶ月後、原子炉は「低温状態」となり放射性物質の漏えいもほぼ抑制されるという。
福島原発事故から1か月余りがたち、東電が初めて発表した工程表。しかし、勝俣会長の記者からの問いかけに対する口ぶりからは、東電がこの工程表に自信を持ち、十分に状況が把握されているように感じられない。勝俣会長が強調していたのは、原子炉容器が破損している可能性がある2号機は期日までに「制御」できる保証はないということだ。
4日前、同じ会場で東電の清水正孝社長は、原発事故の処理に明確な工程表を出すことは現在できないと答えている。
この短い数日間に、ここまで食い違うとは、東電はなにか特別な魔法を見つけたというのだろうか。性急に工程表を発表したのは、政府からの圧力と人心を宥めるためだったようにみえる。
12日、日本政府は福島原発事故のレベルを最高等級のレベル7に引き上げた。そして原発周辺30㎞範囲の被災者を不安に、永遠に家や土地を失う困惑に陥れた。同日、菅直人首相は記者会見で、東電に原発事故の処理工程表を提出するよう指示を出したと発表した。
16日、17日と福山哲郎内閣官房副長官、枝野幸男官房長官は、相次いで計画避難区域の村落を訪問し、村民に政府勧告を受け入れ、1か月以内に避難するよう説得を試みた。多くの村民は親しんだ土地から離れがたく、強く政府に事故処理工程表の開示を迫った。
東電がこの工程表を発表後すぐに、経済産業省の海江田万里大臣は6~9ヶ月後、政府は原子力安全委員会の意見を聞き、一部地域の被災者が帰宅できるかどうかを判断検討すると発表した。これも側面からこの「工程表」の裏で政府が動いていたことを反映している。