日本の野田佳彦首相は訪問先の韓国で19日、李明博大統領と会談した。国際会議以外では初の外遊だ。日韓首脳相互訪問の本来の日程では、今年秋に韓国の大統領が先に訪日することになっていた。既定の日程を突然変え、日本の首相が先に訪韓したのはなぜか。現地メディアは、日本側が日韓関係の改善を急いでいるからだと指摘する。
今年に入り、日韓関係に影響を与える二大問題が再び過熱した。1つは歴史問題、もう1つは領土問題だ。歴史問題とは、具体的には慰安婦問題を指す。韓国の憲法裁判所が8月に「韓国政府が解決に努力しなかったために元慰安婦の人権が侵害されたのは違憲」との判断を下したことを受け、韓国政府は日本政府に対応を求めた。これに対し日本側は「問題はすでに解決済み」と回答。日本側の言う「解決済み」とは、1965年の国交正常化交渉で締結された協定に記された「請求権に関する問題は完全かつ最終的に解決された」を指す。韓国側は、慰安婦問題は1990年代に出現したもので、国交正常化交渉時には議論されなかったため「協定の対象外」としている。日韓共に主張を譲る気配はない。
領土問題とは、日本側の言う「竹島」問題、韓国側の言う「独島」問題のことだ。今年3月に韓国は、日本が中学校教科書に「竹島」を盛り込んだことに反対。日本は韓国閣僚の相次ぐ「竹島」訪問に抗議した。8月には日本の国会議員3人が「竹島」を望む鬱陵島を訪問しようとして拒絶され、韓国の空港に一時留まった。日韓関係は急速に冷え込んだ。
普天間飛行場移設問題の早期進展が望めないことから、これによって冷え込んだ日米関係の修復も難しい。野田首相は東アジア外交の行き詰まりを打開するため、韓国大統領の訪日を座して待つという既定の日程を変更し、「下手に出て」自ら先に訪韓し、日韓関係の改善を図ることを決定したのだ。良好な雰囲気をつくるため、双方は歴史・領土問題には言及せず、未来志向と協力強化のみ話し合うことをあらかじめ決めた。
「人民網日本語版」2011年10月20日