日本で増えている国際結婚。中でも日中カップルの数は逸脱だ。統計データによると、日本人と中国人の組合せで、2004年に出された婚姻届の件数は1万3,019件となっている。うち、日本人の夫+中国人の妻という組合せは1万1,915件、中国人の夫+日本人の妻という組合せは1,104件であった。ここ数年の傾向を見ると、日本人の夫+中国人の妻という組合せは増減を繰り返しながらも減少傾向が見られ、中国人の夫+日本人の妻という組合せは増加の一途をたどっている。
2003年の婚姻件数を見ると、日本人の夫+中国人の妻という組合せが1万242件、中国人の夫+日本人の妻という組合せは890件で、計1万1,132件であった。日本人の夫+中国人の妻という組合せは前年比508件減で、2年連続で減少している。だが、中国人の夫+日本人の妻という組合せの婚姻件数は前年比76件増となっており、2年連続で増加している。
2004年の婚姻件数を見ると、中国人の夫+日本人の妻という組合せは前年比114件も増えている。これは、日本人女性の間で中国人男性が人気を得ているということだろうか?それにしても、中国人男性と結婚してもよいと思う日本人女性の気持ちとはどんなものなのだろう?恋愛、結婚、出産、育児…二人三脚で家庭を築く中で、どのような苦しみや喜び、誤解や理解が待ち受けているのだろう?文化の違いや言葉の壁は、2人が一緒に暮らしていく上でどれほどの障害となって立ちはだかるのだろう?日本在住の中国人男性に嫁いだ日本人女性数名を取材し、日中カップルが必ずぶつかる問題についてたずねてみた。彼女らは自分が実際に体験したことや感じたことを赤裸々に語ってくれた。以下にそれを紹介する。
一、 相手の身になってようやく分かったこと
佐藤真生子さんは、在日華人アーティスト・関山大拙氏の夫人である。関山氏の紹介によると、1985年に来日した関山氏は、1986年、日本大学芸術学部に入学。同大学の下級生の一人が真生子さんであった。1993年、大学を卒業した関山氏のもとに、真生子さんから電話がかかってきた。「捨て犬を拾ったのだが要らないか?」と聞くのである。当時、友達以上恋人未満の関係にあった真生子さんからの頼みとあって、関山氏はすぐにOKの返事をした。夜、真生子さんからまた電話があった。今度は「犬、飼ってくれる?」と言うのである。「え?俺に犬を『買え』って?」と関山氏は驚いた。日本語の「飼う」と「買う」を間違えたのである。当時、卒業したばかりで仕事もなく、暮らしに余裕はなかった。「佐藤さんはどうしてそんながめついことを言うのだろう?朝は『要らない?』と聞いてきたのに、今は『買わない?』だと?犬なんて日本だと最低でも5万円はするよなぁ。どうしよう…」と心の中で長い間考えた。そして「2人の仲がせっかくイイ感じになってきている所なのに、今、断ったらダメになる」と思った関山氏は、ええい、ままよと「分かった。買うよ!」と答えた。その日の夜、学校でパーティがあり、日本人の友人らにそのことを打ち明けると、すぐにそれは「買う」と「飼う」の間違いであることを指摘された。その友人に大笑いされながら、関山氏自身も笑いが止まらなかったと言う。