その後、関山氏にあげた子犬を見に、真生子さんは関山氏の家を度々訪ねてくるようになった。そうして2人の関係は深まり、1994年には結婚となったのである。
真生子さんは現在、米国で姑と一緒に暮らしている。関山氏と日本で住んでいた頃は、2人の会話はすべて日本語だったため、言葉の壁を感じたことはなかった。夫が日本語を話すのが当然だと思っていた。だが、いくら日本に長くいるとは言っても、関山氏が他の日本人と全く同じ訳ではない。ほんの些細な違いが夫婦間で理解し合えず、上手く伝えることができずに、口論となることも多かった。そして今、米国で一緒に暮らす関山氏の母親とは中国語で話さなければならない。日本にいる関山氏と同じ立場に立って、ようやく夫の苦労が理解できるようになったと言う。「外国語で他人と交流するって、本当に大変なことなんだ!」と、自分の夫がこれまでどれだけの困難を克服してきたかを身を以って知り、夫に対する感謝の気持ちと、申し訳ない気持ちがあふれてきたと言う。
「国際結婚で必要なのは、異なる文化や習慣を理解し合うことだと今になって気付いた」と真生子さんは語っている。 同じ国の人同士でも習慣が同じとは限らない。違う国の人同士ならなおさらのことだ、と。
「日本と中国では経済的な隔たりがありますが、2人の金銭感覚が違うといったことを感じることはありますか?」との質問に対し、真生子さんは「2人ともアーティストですし、世間一般のサラリーマンとは異なります。収入も一定しません。とても切り詰めるときもあるし、パーっと使ってしまうときもあります」と答えている。
「子どもの教育面で、2人の意見が食い違うことはありますか?それに対して何か心構えはありますか?」との質問に、真生子さんは「私達夫婦には今、2人の子どもがいます。上の娘は絵を描くのが好きですが、将来どうなるのか、今はまだ予想も出来ません。だから、私たちの教育方針としては、子どもに何かを教えるのではなく、子どもに自分のしたいようにさせ、子どもの可能性を精一杯引き出させることが大切だと思っています。娘が描く絵に見本はありません。私たちがやることといえば、絵を描くのに使う材料や道具を用意してあげることぐらいで、絵の技術を教える訳ではありません。用意する絵の具も、赤、黄、青、白の4色のみで、この4色を使って、娘が自分の好きなように色を作っていくのです。最初から全色揃っている絵の具を与えてしまうと、色を作る能力が養えなくなります」と答えている。
また、「下の息子には、夫が漢字の読み方などを教えています。カードに漢字を書き、ゲーム形式で漢字を覚えさせています。就学前から数多くの漢字を知っていたので、小学校に上がってからの学習がとてもスムーズでした」と述べている。
さらに、「2人の子どもには、やるなら最後までやり遂げろ、と常に言い聞かせています。上の娘が絵を描く時、絵の上手下手に関しては何も言いませんが、最後まで描き上げることを要求します。こうした習慣は学校で習う教科においても『やり遂げよう』とする意識につながります。このため、学校の成績は2人ともとてもよいです。子どもの優れた能力を私たちが一つだけのばしてあげるだけで、ほかの面もそれに伴い成長していくものです。こうした教育方針は夫婦で一致しています」と述べている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年12月11日