玄葉光一郎外相は、1月5日よりトルコ、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦への8日間に渡る訪問を開始した。昨年の福島原発事故発生以降、日本の火力発電は再びその重大任務を背負わされることとなった。玄葉外相の今回の訪問は、日本が原油・天然ガス輸入を確保するためのものだと見られている。イラン情勢が緊迫する今、日本外相が中東エネルギーに「布陣」したことで、中東‐日本‐米国の微妙な三角関係をも映し出す結果となった。
中国社科院日本研究所の学者で、国際関係博士の龐中鵬氏は『国際金融報』の取材において次のように語っている。玄葉大臣の今回の訪問スケジュールにイランは入っておらず、中東三大産油国に、非石油産出国の中東大国トルコを加えた。ここに、中東と米国に挟まれた日本の巧妙なバランス戦略が反映されている。
日本が海外から輸入する原油・天然ガスのおよそ12%はイランからのものである。これまで、日本とイランは良好な関係を維持しており、その一方で日米同盟もまた日本のエネルギー外交の発展を力強く牽引してきた。しかし、ここへきて米・イラン間の険悪ムードが高まりつつある。昨年末、イランの大規模な軍事演習と米国の強制的制裁が相次いで「披露」され、両国の冷戦状態は新たな段階へと突入した。「日米は緊密な軍事同盟関係にあり、日本もそれを重要視しているため、その関係を無視することはできないが、一方でイランとの原油・天然ガスの付き合いは続けていかなければならない。また、米国が制裁を振りかざしている今、日本としては米国の『尊厳』を侵すようなことはできないが、国内で需要が高まる原油・天然ガスのため、イランとの関係を完全に断ち切ってしまうこともできずにいる。」と龐氏は言う。
龐氏によれば、今回の玄葉大臣の訪問で非石油産出国の中東大国トルコを選んだのは、トルコがNATO加盟国であり、米国と良好な関係にあったからだという。また、ここには日本のある「策略」も見て取れる。今後、日本は変わらず日米関係を機軸として維持していく一方、イランを含む中東全体との関係を発展させるためのチャンスを保留しているのである。
事実、対イラン制裁問題において、日本は西側諸国とは始終つかず離れずの状態にある。もし、イランによるホルムズ海峡の封鎖やペルシャ湾で紛争が起こった場合、日本が輸入する石油の70%以上が影響を受け、致命的なダメージを受けることになるとの見方もある。日本はすでに石油の輸入ルートを多元化したが、今なおペルシャ湾に取って代われる依存先は見つかっていない。イランのエネルギー問題において、自国の国益を考える日本は、曖昧な態度をとり続けることしかできない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年1月9日