日本のIT企業や中小企業には、「ブラック企業」と呼ばれる会社が多かった。しかし昨年、大王製紙会長による子会社からの巨額借入事件や、オリンパスの損失隠し事件などが明らかになるにつれて、日本で「ブラック企業」の範囲が広がってきている。なかでも社員管理が厳格な会社などで、社員間競争の激化などから、自社を「ブラック企業」」と捉える社員が増えている。
日本の某大手保険会社に勤める星野拓真氏(仮名)は、「社員の8割が営業に従事する一般女性社員。残る2割が総合職で、東大など有名大学卒のエリート男性です。会社はこれらエリート社員の管理を厳格にしているため、成績や昇進のために誰もがなりふり構わない状況です」と明かす。
「会社が始まるのは9時ですが、まじめに仕事をしていることを上司にアピールするため、8時半に出社する人が増えました。その後8時や7時にエスカレート。現在では6時半に出社する人もいます。またお昼は、12時に席を立つ人はほとんどいません。大多数が12時半になってから休憩に入ります。結局お昼休みはたったの30分ということになります」。
仕事面での激烈な競争以外にも、日本の大企業が設置する「セクハラ相談室」「パワハラ相談室」といった部署が、時にライバルを蹴落とすための落とし穴になっている。
「私の上司はとても優秀だったので、あの事件が起きなければ間違いなく出世していたでしょう。彼はある日突然、女性社員にセクハラを訴えられたのです。そしてどこかに飛ばされてしまいました。後で知ったことですが、子会社に出向させられてしまったのです。これは、目の上のたんこぶだった彼を蹴落とすために、職場のライバルが女性社員と共謀してセクハラ騒ぎを起こしたというのが真相です。騒ぎが起きた以上、嘘でも本当でも会社としては上司を処理しなければならなかったのです。
圧迫、競争、排他…。このような「手段を選ばない」社風の影響で、2割の社員が「うつ病」に悩まされており、出社できない長期休暇中の社員も少なくないと星野氏は明かす。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年1月27日