脳科学者として知られる茂木健一郎氏とカネボウが、2007年に共同実施した脳科学研究も、これを裏付けた。研究結果によると、化粧は女性の脳を活性化させ、積極的に社会生活に加わる気持ちをわかせる。震災後の日本人女性にとって、1本の口紅は自らが女性であることを意識させ、頑張って働くための原動力となり、苦しみから抜け出すためのきっかけとなったのかもしれない。
震災と放射能汚染が日本社会全体に与えた不安感を受け、日本人女性の化粧の特徴は「柔らか」、「穏やか」となった。穏やかでナチュラルな化粧は、見る者に落ち着いた印象を与える。ここからも、人々は大災害の後に、安心と落ち着きを求めることが分かる。2012年に入り、電力の供給不足、消費税増税の議論、経済危機といったさまざまな社会問題が、日本の消費者に重い負担を課しているが、化粧品業界では売り上げの回復傾向が著しい。今春の流行は、彩りを際立たせる鮮やかな化粧だ。各商品はピンクやグリーンなどのいきいきした色彩を推奨している。これは人々の早期復興に対する期待を反映しているようだ。
カネボウ美容研究所の研究院の原島氏は、「日本の新たな化粧の流行を生み出す主な要素は、経済動向、ファションリーダーの年齢範囲、アジア諸国だ」と指摘した。日本が真の意味で震災から復興し活力を取り戻した際に、新しい化粧の流行が生まれるに違いない。
「人民網日本語版」2012年2月1日