李国慶
日本語の「家」は、明治時代の特殊な家族制度に由来する。一般的な「家庭」(family)の概念と異なり、「家」は家長が家族を統括する社会組織制度であり、家の財産は家族全体が所有し、一種の家族経営を行って、世代を超えて「家」の継続と繁栄を目指すものである。第二次世界大戦が終わるまで、「家」は日本人にとって最も大切なものであり、家長には大きな権利が与えられていた。親子関係は夫婦関係より上であり、男性の地位は女性のそれより上だった。さらに長男の地位は他の子供のそれより上であり、本家の地位は分家の地位より上だった。婚姻による親戚関係より同族関係が優先された。
「家」意識の減退が家族制度を解体
現在、日本の家族は変わろうとしている。上野千鶴子氏は、「家」には「家族」と「出自」という2つの概念が内包されているという。「家族」が「家庭内共同体」を体現し、「出自」が「血縁的共同体」を体現する。この2点が家族の最も基本的な条件となる。しかし社会変化に伴い、一家の共同体と血縁の共同体が分離し始めた。今日、両者が家族の不可欠な条件となることはなくなった。
1980年以降、日本の家族制度は根本的な解体に見舞われた。まず離婚率が1980年の1.22(千人ごとの離婚件数)から1990年には1.28に上昇。2000年には2.10にまで上昇している(2009年は2.01とやや下がっている)。
日本人の家族意識の変化が、家族の紐帯が弱める最大の要因となっている。5年に一度行われるNHKの「日本人の意識調査」によれば、1998年、結婚が人生に不可欠なものとする人は58%に上った。また結婚すべきと考える人は38%だった。2003年になると、40歳以下の人で80%の人が結婚は必須ではないと回答。20~29歳の人に至っては90%にも上った。
結婚観念は未婚率と離婚率に直接的な影響を与える。結婚願望の減少は日本の少子化の重要な要因である。社会が豊かになり、福祉レベルが上がったことで、日本人の結婚観念に大きな変化が生じたのだ。「日本人の意識調査」の結果は、日本人が利益や信義を重視しなくなる一方で、愛情や享楽を追及するようになったことを示す。この変化は、日本人が将来のことよりも現在の快適な生活と幸せを求めるようになったことを示唆している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年2月16日