第二に、払い戻しの可能性が残っている事である。日本の関連法令によると、5~10年取引がないと預金者は権利を失うが、金融機関は10年以上取引実績のない休眠口座でも、預金者の請求があれば全額の払い戻しに応じている。現在、日本の金融機関において年間850億円程度の休眠預金が増えていっているが、うち40%がその後、払い戻しを請求すると予測される。この休眠預金が実際に復興資金に充てられれば、預金者が払い戻しを求めた時にどうするべきかという問題が浮上してくる。その時に国が全額払い戻しに応じるかどうかは甚だ怪しいものである。
第三に、資金の有効活用を行なう上での合理性、合法性である。日本で休眠預金が発生する理由として以下のことが挙げられる:預金者が突然亡くなり、遺族の誰もがその口座があることを知らない場合、残金が少ないため預金者も放置したままになっている場合、身寄りのない老人が死亡し、相続する人がいない場合などである。だがどのような理由にしても、「預金は預金者のもの」なのである。「個人の財産を利用する権利が政府にあるのか?」という疑問を銀行界は投げかけている。
休眠預金の活用についての問題は、日本だけが抱える問題ではない。どの国でも金融機関に決して低いとは言えない金額の、預金者に放置された財産が眠っている。韓国では2008年に休眠預金財団が成立し、金融機関が自主的に寄付する「休眠預金」が福祉事業に活用されている。だが、休眠預金の活用を巡り、各国では議論が続いている。今のところ、合理的かつ有効で、誰もが納得できる方法はあみ出されていない。日本政府は震災復興のため、という大義名分を振りかざしてはいるものの、そう上手くコトが運ぶかどうかはまだ誰にも分からない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年2月24日