近年、中日の力関係と相互依存関係には歴史的な変化が生じている。中国の国内総生産(GDP)が日本を超えたと世界で騒がれる中、日本の対中関係には予想外の変化が現れている。日本の一部の人は両国間の利益の衝突だけに目を向け、協力・ウィンウィンの成果と展望には目を向けていない。日本の執政党も中日の戦略的互恵関係を履き違えており、両国の戦略的互恵関係を適切に処理できず、目先の利益にとらわれ、共通の戦略的利益には目を向けず、中日関係を損なう言動に出ている。このような動きは、中日の戦略的互恵関係の実現と深化を難しくするだろう。民主党は、中日間で決めた「共通の利益の追求」を目標とした戦略的互恵関係を引き続き発展させる姿勢を示しており、日本が情勢を見誤らず、適時に制度を改革し、中日関係の大局を維持できることを望んでいる。
日本の右翼勢力と民主党の一部保守派による「釣魚島問題」を利用して中国に対抗する動きは、島の領有権と東中国海の海洋権益などの問題が今も中日関係の妨げになっていることを示す。東中国海と釣魚島をめぐって、民主党の一部保守派は自民党執政時の強硬な政策を引き継いでいることに注意しなければならない。野田首相は就任後から中国に対する強硬な姿勢を示してきた。「釣魚島問題」で沖縄県民の米国に対する不満をそらし、新たな「中国脅威論」を作り日米同盟関係を強化する動きからは、民主党の一部保守派の陰険な意図が見える。そのほか、民主党が執政当初に承諾した環境、気候、エネルギーなどの国民の生活にかかわる世界的な問題を国際枠組みへの参加や主導の切り口にしなかったことは、民主党政権に戦略的優位に立ち、課題解決をリードする外交能力がないことの表れだ。民主党が執政当初に打ち出した日露間の南クリル諸島(日本名:北方四島)問題の解決と東アジア共同体構想の見通しははっきりしていない。日本と中国、韓国、朝鮮、ロシアの間の問題は深刻化し、周辺関係が悪化する可能性も高い。
要するに、日本の右翼勢力と一部の保守派の政治家は日米同盟の強化を機に、隣国との間に絶えず摩擦を作るという方法で「戦後体制」からの脱却を図り、第二世界大戦時に他国を侵略して失った国の対外的役割を取り戻し、「正常な国」を意味する政治・軍事大国化という戦略的目標に一歩ずつ近づこうとしている。(中国社会科学院日本研究所 呂輝東)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年8月20日