国土交通省の最新報告によると、日本が釣魚島(日本名「尖閣諸島」)の国有化を正式に発表した9月中旬以降、日本人の中国への観光ツアーは半減した。それでも、日本には「中国の観光部門が被る損失は甚大で、日本よりも大きい」とするメディアもある。しかし、証拠は日本の損失のほうが大きいことを示している。中国の学者何茂春教授は取材に対して、「日本のメディアが中国が被る観光収入の損失のほうが大きいと報じているのは『自分を慰める』ため。中国人の日本観光によって日本側が得られる直接観光收入と間接観光收入は、いずれも日本人の中国観光によって中国側が得られるそれを上回っている。日本のメディアは目先の小さな利益だけを追っていれば、アジア大国である中国という大きな利益を失う」と指摘している。 人民日報系の国際情報紙「環球時報」が報じた。
▽中日旅行業「共倒れ」
時事通信は20日、「尖閣諸島をめぐる日中両国の関係悪化による航空・旅行業界への影響が出始めて」おり、「中国旅行の安全性への懸念や反日活動が招いた中国に対する悪感情が原因で、団体客のキャンセルなどで日中間の定期便の16%が減便となったほか、中国への観光ツアーは半減した」と報道した。また日本航空(JAL)と全日空(ANA)は取材に対して、9-11月分の中国に向かう便中、5万2千席がキャンセルになったことを明らかにした。さらに、公益財団法人「日本交通公社」も「中国に向かう日本人団体観光者数が10%減少した」としている。
一方、中国人の訪日に関して、共同通信は19日、「9月に日本を訪れた中国人旅行者は、東日本大震災の影響がない2010年同月と比べ約1万4千人(10%)減の12万3500人だった」とする政府観光局の推計を報道。「尖閣諸島をめぐる日中関係の悪化が影響したとみられ」、「今年6-8月はいずれも10年比で2桁の伸びを示していたが腰折れした」と伝えた。
▽損失は中日どちらが大きいか
日本のメディアが伝えている統計によると、11年、日本を訪れた中国人旅行者は130万人だったのに対し、中国を訪れた日本人旅行者は350万人だった。そして同統計に基づき、「日本人は旅行先として中国を避けるようになれば、中国は日本人観光客という超お得意様を失うことになる。そのため、中国側の損失のほうが大きく、それが日本の損失よりも大きい」と分析する人もいる。
しかし、統計によると、観光客の消費能力と地元にもたらす経済効果のどちらの角度から総合的に評価しても、日本の損失のほうが大きい。観光庁の12年の統計データによると、訪日中国人観光客の1人当たりの消費額は16万4358円。一方、訪中日本人観光客は10万円以下だ。中国の観光客が日本に与えている経済効果のほうが大きいのだ。
日本のある観光業関係者は取材に対して、「日本の観光業界にとって、ショックなデータはまだ出ていない。日本の観光業界にしてみると、中国の国慶節(建国記念日、10月1日)と春節(旧正月)の前後にある大型連休が書き入れ時。ところが、今年の国慶節、中国人観光客のほとんどが韓国などに流れた。今のままでは、来年の春節(2月10日)の連休までに、中国人観光客数が以前の水準にまで戻るのは難しい。そうなると、倒産する日本の旅行社が相次ぐだろう」と警笛。日本のある旅行社の責任者も「海外業務、特に中国業務が縮小しているため、当社はすべての契約社員との契約を打ち切った。また、正社員の給料も30%カットとなっている」と悲鳴を上げる。