安倍首相の三原則、見栄えが良いだけで中身なし
安倍首相はやっとの思いで再任を果たしたため、前政権を途中で放棄した恥をすすぎ、イメージを再構築し、成果をあげようとする意思を強く示している。そのため安倍首相は就任直後に戦略的外交、価値観外交、積極的・能動的外交の三大外交原則を掲げた。
安倍首相の三原則は、表面的には輝かしく魅力的に見える。しかし対米積極的・能動的外交にせよ、価値観外交にせよ、その実施の途中でつまずいており、大きな成果を手にしていない。対中戦略的外交はまだ実施されていないが、大きな収穫が得がたいことを断定できる。安倍首相の三原則が苦しい歩みを強いられ、わずかな成果しか得られていない主因は次の通りだ。
(1)視野が狭く、目的が功利的すぎる。安倍首相が上述した三つの外交基本原則を定めた重要な目的は、他国を抱き込み中国をけん制・包囲することで、その狙いは本国の利益ばかりだ。例えば米国に対して積極的・能動的外交を実施する目的は、米国を引きずり下ろすか強引に抱き込むことで、釣魚島(日本名・尖閣諸島)の共同防衛に参加させることだ。この原則の徹底の前提条件は、中米関係を著しく損ねることだ。このような外交方針で、中国経済と密接につながっている米国から、力強い協力を得られるはずがない。また安倍首相の価値観外交は、中国と不一致・対立がある一部の周辺諸国だけを選択しており、借款や技術支援の提供といった小さな恩と恵みにより関係を強化し、彼らと中国の関係を損ね、いわゆる「意気投合する」国家に立場を表明させようとしている。このような外交原則は目的がはっきり示されており、余りに功利的であり、むしろ小国の反感と懸念を招いている。そのため安倍首相の東南アジア諸国の訪問は熱烈な歓迎を受けたが、訪問を終えるとムードが途端に冷え込みを見せた。
(2)内容が空虚で、対中国戦略的外交に真の意欲と実質的な行動が欠けている。安倍首相は就任から100日余りで、外交の三つの基本原則を掲げた。これらの外交政策の多くは慎重に検討されたものではなく、細分化・深化・具体化を待たずして外交活動を展開しており、失敗に終わらないはずがない。対中国戦略的外交は、すでに提唱されてから6年以上が経過しているが、依然として定義が存在せず、目標実現の路線図が示されていない。これは単なるスローガンと目標だけに終わっており、実施の徹底は困難だ。また重要なことに、安倍首相は就任後に中日関係改善に向けた真の意欲と実質的な行動を見せておらず、釣魚島問題で態度をやわらげず、むしろ靖国神社参拝問題で中国人の感情を何度も傷つけている。これらの行動は、日本のいわゆる対中国「戦略的外交」を、見栄えが良いだけで中身のないものとしている。(筆者 郁志栄:上海日本研究交流センター研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年5月24日