次に、一国が影響力を持つ成功した大国になるためには、強い軍隊、先進的な武器、ハイテクなどの「ハード力」が必要なほか、国際社会を引きつける特色・魅力ある優秀な文化と文明などの「ソフト力」が必要だ。しかし安倍首相の行為を振り返ると、その主な目的は日本のハード力を求め、日本を再び軍事大国に変化させることであることが分かる。今や安倍首相は何はばかることなく「悪霊」を参拝しているが、これは自ら日本のソフト力を損ねるようなものだ。世界で公認されている判決を受けた戦犯を拝むことは、文化・文明的な国のすることではなく、「原始的で未開」の非文明時代に逆戻りすることになる。現在の文明時代において、一国に「野蛮」な行為が存在するならば、その国のソフト力にはまったく魅力がなくなる。ソフト力を持たない国は、立派な大国になれない。
それから安倍首相の「悪霊参拝」は、日本を国際社会で孤立させる。日本は「外交的地位」を失い、世界の大家庭から除外される危険性がある。小泉純一郎氏は首相就任時に毎年「悪霊」を参拝し(計6回)、日本をアジアで「外交孤立」の状態に陥れた。安倍首相は「政治の師」である小泉氏の後に続き、「悪霊参拝」を伝授された。その結果は想像に難くない。日本はさらに「外交的地位」を失い、「外交孤立」のきまりの悪い状態に陥るばかりだ。
日本はこれまで完全に国際社会に溶け込み、「正常な国」として国連安全保障理事会の理事国に加わることを、外交の最重要目標の一つとしてきた。しかし安倍首相の「悪霊参拝」は、日本を国際社会から離れさせ、安保理の理事国に加わることを「空想」と化すばかりだ。国連を始めとする世界の最も権威ある国際機関は、国際社会が公認する国連憲章を基礎としている。国連憲章は、国連の趣旨を「国際平和と安全の維持」、「侵略行為の制止」、「国家間の各国国民の平等な権利、自決の原則の尊重を基礎とした、友好関係の発展」、「国際協力の促進」などと規定している。この趣旨に基づくと、安倍首相の「悪霊参拝」の悪行は、「国際平和と安全の維持」、「侵略行為の制止」の趣旨、国連憲章の趣旨に完全に悖るものだ。侵略戦争の罪を徹底的に反省できず、好戦的な行為を復活させようと躍起になる国、極東軍事裁判によって死刑にされた戦犯を靖国神社に祀る国は、国連という平和を愛する大家庭に入ることができない。安倍首相が独断専行を、「悪霊参拝」を続け、世界の良知と正義に挑戦を続けるならば、日本を世界の大家庭から孤立させるだろう。国際社会の平和を愛し侵略戦争に反対する国も、日本から離れるだろう。日本はかつてない孤立に陥り、アジアで地位を失うばかりか、アフリカ・ラテンアメリカでも疎遠にされる。
最後に、安倍首相の「悪霊参拝」の悪行は、日米同盟の信頼関係を損ね、米国の信頼を失わせる。安倍首相ら日本の右翼・保守勢力が傲慢にも侵略の歴史を否定し続けられるのは、米国が裏でこれを放任していることによる。しかし米国がある日、安倍首相の「悪霊参拝」が米国のアジア太平洋における利益を損ねることに気づけば、日米の相互信頼の基盤が揺らぎ、日米の相互信頼が失われる。これにより直接損失を被るのは日本だ。日本が日米同盟の存在を必要とする間に、日米同盟に隙が生じれば、日本にとって大きな打撃となるだろう。(筆者:厖中鵬 中国社会科学院日本研究所の専門家)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2013年12月27日
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