中国民間対日賠償請求連合会はこのほど、日本の木寺昌人駐中国大使を通し、日本の明仁天皇と日本政府に対し、日本が奪った中国の文物「中華唐鴻臚井碑」を返還するよう要求した。中国の民間団体が日本の皇室に文物返還を要求したのは初めて。
唐鴻臚井碑は重さ約9トン、単体約10立方メートルのらくだの形をした天然巨石であり、唐代の册封による東北管轄の過程を証明するものである。1908年、日本軍は鴻臚井碑と護衛碑亭を日露戦争の戦利品として持ち帰り、日本の皇室に所蔵してきた。
中国民間対日賠償請求連合会の童増会長によると、「中華唐鴻臚井碑」を取り戻すため、まず正式に在中国日本国大使館に書簡を渡し、文物の返還を要求し、次に転送に関して在中国日本国大使館に問い詰める。童増会長は、「取り戻す過程でいくつかの阻止に遭い、返還を求めた後、中日関係に影響すると考える人もいるだろう」と述べた上で、返還に成功すれば中日関係を促すとの考えを示した。
日本の皇室への文物変換の要求には国際的な先例がある。1592年以降、日本は朝鮮侵入に失敗し、朝鮮に「北関大捷碑」を建てた。1905年、日露戦争の勃発後、日本軍はこれを日本に持ち帰った。1970年から韓国の民衆は日本への「北関大捷碑」返還の要求に取り組むようになった。2005年5月、韓国政府は日本に返還を正式に要求し、同年に日本から返還された。
華東政法大学国際法学部の管建強教授によると、文物は日本に奪われた後、日本の公権力に所有されている。したがって、文物を取り戻すのは通常は外交の手段で行なわれる。管建強教授は、「取り戻す手続きに正式に入れば、国際公約を引用しても外交手段で解決しても、その主体は当然国(政府)である。したがって、某民間団体が国の授権を得るか、具体的な流失文物の所有者の授権を得るかしない限り、一般的な民間団体には主体資格の問題がある」と話した。
そのほか、教授は、国際公約は法的手段を通じた文物取り戻しに法的根拠を与えるが、公約そのものに限りがあることから、法適用時に様々な障害が生じることがあると見ている。
教授は、「国際法の面から言えば、関連公約もいくつか出てくる。しかし、これらの公約は強制的なものではない。したがって、どのような方法、どのように中国の歴史文物を取り戻すかは中国政府が重視し、研究しなければいけないことである」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年8月11日