日本製の家電は1980−90年代に世界各地を席巻した。家電産業は日本経済の高度成長をけん引する原動力になり、「メイド・イン・ジャパン」は世界市場で好評を博した。しかし時が過ぎ21世紀に入ると、日本家電メーカーは激しい国際競争で力を失い、韓国や中国などの後発者に追い抜かれ、経営難に陥った。
・「家電王国」の神話が崩壊
2011年度より、日本家電業界の3大手であるソニー、パナソニック、シャープが巨額の赤字に陥っている。そのうちパナソニックの赤字額は、日本製造業の記録を更新した。これらの家電大手は自らの腕を切り落とすような改革を実施したが、経営・業績の持続的な悪化を阻止できずにいる。これらの3大手は2012年度にも深刻な赤字に陥った。
日本の家電業界の衰退には複雑な原因がある。企業の戦略ミスもあれば、インターネット技術の急速な発展、世界の産業構造の激変といった要素もある。
戦略の重大なミスの例としては、DVDの規格争いが挙げられる。日本家電メーカーはDVD市場を争奪するため、研究開発に巨額の経費を費やした。これにより、ソニーやパナソニックなどが主導するブルーレイ陣営と、東芝が率いるHD DVD陣営が形成された。この多くの人と物を投じた規格争いで、ブルーレイディスクが最終的に勝利を収めたが、インターネットの急速な発展と大量の動画共有サイトの出現により、市場のDVDプレイヤーの需要が縮小した。日本家電メーカーの規格争いは、勝者の存在しないゼロサムゲームになった。
携帯電話事業において、日本は欧州や中国などと異なるモデルを採用し、国際的な競争力が自ずと削がれた。現在のスマートフォン市場において、日本のハイエンド製品・ブランドの競争力は米アップルに及ばず、低価格スマートフォンのコストパフォーマンスも韓国や中国の製品に及ばない。
・産業のモデルチェンジで活路を見出す
ソニー、パナソニック、シャープ、日立、東芝、三菱、NECなどかつて一世を風靡した代表的な日本家電メーカーは近年、経営難に陥るか、家電市場から退き別の活路を見出そうとしている。
各社は家電事業を縮小し、脱家電化を始めている。これらのメーカーは海外の家電事業から撤退し、国内の家電生産規模を縮小し、自社の高収益の事業に集中している。家電を主事業とするパナソニックとシャープも、自動車用電子部品や新エネルギーに足を踏み入れており、多種多様な経営により収益の多元化を目指している。ソニーは黒字を続けている映像事業のマーケティングを強化するほか、再生医療や医療機器などの新事業を開拓しようとしている。
4Kの試験放送に伴い、日本家電メーカーはテレビ買い替えとモデルチェンジの新時代を迎えると判断し、これを契機に再起を図ろうとしている。パナソニックはこのほど2シリーズ・計7機種、40−85インチの4Kテレビを発表した。東芝、シャープ、三菱も4Kテレビを間もなく発表する予定だ。新たな競争が、密かに展開されている。
この新たな競争において、日本家電メーカーが再起し、「家電王国」のかつての輝きを取り戻せるかに注目が必要だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年11月25日