藤崎さんは、日本で最も人気の高い観光地で飲食店を経営しており、多くの収入を手にしている。しかし藤崎さんは、消費を控えている。安倍晋三首相の経済政策にとって、これは良い兆しではない。
34歳の藤崎さんは、「税金と物価が上がっており、この時期に消費をするのは不快だ。将来どうなるか分からない」と述べた。
藤崎さんなどの消費者の態度は、日本経済が第3四半期に衰退に陥った原因の一つだ。
安倍首相は就任当初、日本経済を苦しめてきた20数年間のデフレから脱却するため、アベノミクスと呼ばれる一連の経済政策を推進してきた。そのうち金融緩和、財政刺激、構造改革は「3本の矢」と呼ばれている。
しかし一連の悲観的なデータは、安倍政権の経済刺激の大胆な措置に影を落としている。安倍政権が4月に消費増税に踏み切ると、国内の消費と経済の回復が追い打ちをかけられた。
消費を控えているのは国民だけではない。企業は日増しに縮小する国内市場に、資金を投じようとしていない。農家は政府の助成金と関税の恩恵にしがみついている。安倍政権は選挙に勝利したが、上述した事実を一つも変えられていない。
英キャピタルエコノミクスのアナリストのマルセル・チリアント氏はAP通信の記者に対して、「政府は競争の規制解除を宣言したが、いかなる進歩も見られない。当社は改革が今後数年間に渡り停滞することを懸念している」と述べた。
経済協力開発機構(OECD)で日本・韓国デスクを統括するランドール・ジョーンズ氏は、「安倍政権は物価上昇、企業の収益増、賃金増という好循環を目指している。我々は基本給の増加率が、物価上昇率を上回ることに期待しているが、現時点では実現されていない」と話した。
安倍首相は膨らむ政府債務の削減を目指している。日本の政府債務の規模は、GDPの230%に達している。この比率は米国の2倍以上に相当する。安倍首相は消費増税を実行したが、債務の負担削減という目標を実現できなかった。
安倍首相が約束した好循環の形成が遅れていることから、米格付機関のムーディーズは日本国債の格下げに踏み切った。
日本の失業率は10月に3.5%に低下したが、新規雇用者数のほとんどは低給で待遇の悪いパート・アルバイトだ。
藤崎さんは2年前に、飲食店経営の職を見つけた。安倍政権は次の消費増税の時期を2017年4月以降に延期したが、藤崎さんは日常的な需要を満たす以外に、何かを消費する計画を立てていない。
藤崎さんはUSAトゥデイの記者に対して、「経済がどうなるかを見守りたい」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年12月16日