安倍晋三首相はこのほど、291億7000万ドル規模の一連の景気刺激策の実施を決定した。同計画は消費者の支出促進と地域経済活性化を目的としており、衰退中の経済の巻き返しを図る。米ウォール・ストリート・ジャーナルが伝えた。
この27日に決定された支出計画は、中小企業、農村、被災地の復興支援に特化している。これは自民党が今月の衆院選に圧勝し、新内閣が発足してから初の重大な措置だ。安倍首相は衆院選を、経済政策に対する国民投票として位置づけていた。
安倍首相は選挙期間中、東京以外の地域の経済活性化に専念し、大幅な円安により痛手を被っている企業と消費者を支援することを約束した。
新たな刺激策のうち、約半分の資金は最近の自然災害後の復興支援に使用される。政府はさらに各自治体に交付金を分配し、住民に商品券などを配ることで消費を刺激する。低所得層向けの支援策には、低年齢の児童を持つ世帯への補助金や暖房費の補助金などが含まれる。
4月の消費増税が消費の支出に悪影響を及ぼしてから、日本経済は2四半期連続でマイナス成長に陥っている。安倍首相は先月、次の増税の時期を来年10月に先送りすると表明した。
安倍首相の経済政策はアベノミクスと呼ばれており、これには金融刺激、財政刺激、構造改革が含まれる。日銀の資産購入プログラム(量的緩和策)により、円がドルに対して円安となっている。安倍首相が2012年12月に就任してから、円がドルに対して約3分の1の円安となっている。
輸出企業は円安により利益を得ており、利益も過去最大となっているが、円安は輸入コストの拡大を招いており、一部の中小企業と消費者の利益を損ねている。