産経新聞はこのほど、コラムニスト、安倍首相の元ブレーンの曽野綾子氏の記事が、アパルトヘイト政策を称賛し美化する内容だったと批判する、南ア駐日大使からの抗議文を受け取った。
共同通信社は15日、大使が問題視しているのは「労働力不足と移民」と題し、11日付朝刊に掲載されたコラムだと伝えた。曽野氏は文章の中で、「移民に法的身分を厳守させる制度を制定するべきだ……(中略)……20−30年も前に南アフリカ共和国の実情を知って以来、私は、居住区だけは、白人、アジア人、黒人というふうに分けて住む方がいい、と思うようになった」と記した。11日は、南アフリカのアパルトヘイト撤廃の指導者、ネルソン・マンデラ釈放の25周年記念日だった。
コラムが掲載されると、英字紙により情報が伝わり、国際社会で批判の声が上がった。曽野氏は安倍内閣のブレーンという立場のため、その発言がいっそう注目された。南ア駐日大使は抗議文の中で、「アパルトヘイトは人道主義に対する犯罪だ。これは21世紀に正当化されるべきではなく、世界のいかなる国も肌の色やその他の分類基準に基づき他人を蔑視してはならない」と指摘した。米ウェブメディア「デイリービースト」は、「主要紙でさえこのようなデタラメを掲載するならば、国家のすべての人種主義者を後押しすることになる」と批判した。ロイター通信は、「政府のシンクタンクがアパルトヘイトを称賛するとは、首相の面目丸つぶれだ」と論じた。ネット上では曽野氏の意見を支持する人もいるが、主流となっている世論の多くは批判的な見方を示している。
安倍首相の就任後、日本メディアは時おり右傾化した情報を伝えている。安倍首相が委任したNHKの籾井勝人会長は公の場で、従軍慰安婦問題は「どこの国にもあったこと」と発言し、各界から批判された。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年2月16日