全国日本経済学会、中国社会科学院日本研究所、社会科学文献出版社は、『日本経済白書:日本経済および中日経済・貿易関係の研究報告書(2015)』を発表した。要約は下記の通り。
日本経済が直面している最大の難題は、構造問題だ。これは長年に渡り形成された「政府債務」、「産業空洞化」、「高齢化」にいかに対応するかという問題だ。日本経済が中長期的に発展の苦境を脱するためには、その成長戦略、経済構造改革、社会保障制度改革の推進を徹底する必要がある。
アベノミクスの実施から2年余りが経過するが、日本経済は依然として非常に脆弱であり、経済回復の水準に達していない。公共投資の相乗効果、株価上昇による資産効果、消費増税による駆け込み消費は、前回の経済成長の主な原動力だ。公共投資による財政面の効果は比較的大きいが、量的緩和策による株価回復と円安の効果は徐々に薄れつつある。この状況下、新たな安倍内閣が第二段階の消費増税に踏み切るならば、日本の個人消費に対してより直接的な影響を及ぼす。また物価上昇目標の実現がさらに難しくなり、マクロ的調整の短期的な政策的効果を弱めることになる。しかし増税を諦めれば、日本は財政の崖に直面し、財政破綻する可能性がある。
日本経済には人口や制度などの深いレベルの構造問題があり、構造的な需要不足という共通性もある。日本経済が長期的な低迷に陥っていることには、膨らみ続ける国の借金、減少を続ける人口という二つの最大の原因がある。日本の人口減と国の借金の拡大は表裏関係をなしており、必然的なつながりを持つ。アベノミクスは緩やかな金融政策、フレキシブルな財政政策により日本経済の回復を目指しているが、短期的な経済効果を得るだけで精一杯だ。
日本経済が中長期的に発展の苦境を脱するためには、その成長戦略、経済構造改革、社会保障制度改革の推進を徹底し、日本社会の構造問題を解消し、持続可能な経済発展により長期的に財源を開拓し支出を抑える必要がある。しかし現在の日本の政治体制を見ると、党内および各利益集団の既得権益の影響を受け、構造改革に十分な原動力が備わっていない。日本の根本的な構造改革の推進は困難だ。安倍首相の衆院解散・総選挙は、反対意見を排除し、構造改革を進める上での障害物を取り除いたと言える。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年5月20日