年初のウォシュレット買い占めに続き、多くの中国人客が日本製の非処方の常備薬に目をつけている。「訪日旅行の際には家庭用の神薬の購入を」、「日本で買うべき神薬」といった内容が、日本旅行の情報としてネット上で頻繁に取り上げられている。小林製薬が7月上旬に発表した情報によると、多くの中国人客が名を慕い医薬品を買い占めていることを受け、第2四半期の売上が前年同期の5倍以上になったという。
日本のどこでも購入できる常備薬を、必ず購入すべき「神薬」と呼ぶならば、確かに誇張であろう。しかしこのようなニュースを読んで、中国人客は「騙されやすい馬鹿な成金」であると言うのも理性的ではない。日本で販売されている中国製ウォシュレットと異なり、中国人客の間で人気の高い「神薬」は、正真正銘の日本製だ。中国の製薬メーカーは、これらの一般的な薬品がなぜこれほど好評を博しているのかを分析すれば、啓発を受けることができるだろう。
日本の常備薬が中国人客の「買い占め」の対象になっていることには、いくつかの理由がある。ただ日本の製薬メーカーの常備薬市場における細やかな取り組みが、その深いレベルの原因になっている。これはまさに中国の製薬メーカーが学ぶべき点だ。
多くの家庭には、頭痛や発熱、打ち身や怪我の常備薬を入れた薬箱がある。日本の製薬メーカーはこの市場に狙いを定め、品質が保証されており、珍しく使いやすく、庶民にやさしい価格の多くの製品を発売した。例えば傷口に塗ると薄膜を形成し、細菌の進入を防いでくれる「液体絆創膏」などだ。また子供用の医薬品の場合、同じ薬であっても年齢ごとに細分化されている。これによって日本製の医薬品は、消費者の間で高い知名度と信頼を誇っている。
中国の製薬メーカーを見ると、批判に値する点が実に多い。子供用の医薬品を例としよう。国家食品薬品監督管理総局の統計データによると、中国には現在4000社以上の製薬メーカーがあるが、子供用の薬品に特化したメーカーは5%未満であり、かつ90%の薬品に子供の服用量が示されていない。一部の製薬メーカーもしくは病院は、高品質の子供用の医薬品を開発しているが、余りにも高額で保護者から批判を浴びており、購入も不便だ。日本のみならず、中国人はどの国を旅行しても、そのついでに高品質で割安な薬品を購入している。一部の人はウェブサイトを通じ、海外から医薬品を個人輸入している。これらの新たな現象は、中国人の薬購入の需要が、国内で満たされていないことをある程度示している。中国の製薬メーカーが日本などの国から学び、多くの利益を生みそうに見えない分野を深く耕せば、多くの見返りを得られることだろう。
各業界は、中国人客が海外で常備薬や日用品などを買い占めていることを受け、反省するべきだ。当然ながら、外国のものは何でも中国より優れていると迷信する必要はない。特に医薬品などの特殊な商品に対しては、理性的で慎重な姿勢を維持しなければならない。さきほど一部の中国人客がもてはやしていた海外の「神薬」は、製造日・品質合格証・メーカー名が記載されていない「三無産品」であることが証明された。またネット上で伝わる優れた機能を持つ「神薬」も、実際には一部の製薬メーカーのマーケティングと誇張に過ぎない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年7月13日