連立与党を組む自民党と公明党は7月15日、過半数の議席を占める衆議院の平和安全法制特別委員会で、安倍政権が提出した集団的自衛権の行使に関する安保関連法案を強行採決し、16日の衆議院本会議でも強行採決した。
安保関連法案、専守防衛の原則を破る
日本の新たな安保関連法案は、「平和安全法制整備法案」と「国際平和支援法案」の二つに分かれ、計11法案。法案の改定により、自衛隊がより多くの権限を与えられる。「周辺事態法」は「重要影響事態法」に名を変える。自衛隊の米軍や他国軍への支援には地理的制限がなくなり、日本周辺の範囲に限られなくなる。「国際平和支援法案」によって、政府は国会の同意を得れば、いつでも海外に自衛隊を派遣し、外国軍を支援できるようになる。
本質的に見ると、同法案は集団的自衛権の行使を目指している。安倍政権の働きかけにより、日本は1954年の自衛隊創設より守ってきた、専守防衛という安保政策の基本理念を変えた。日本は攻撃を受けていなくても、他国の攻撃を阻止するため武力を行使できるようになった。
米日同盟の連携が強化
安倍首相が4月に訪米した際に、両国は日米防衛協力のための指針を改定した。指針の規定によると、日本と友好関係を持つ第3国が攻撃され、日本の存続と国民の生活・自由・幸福を求める権利が脅かされた場合、日本は日本の存続と日本国民を守るため、武力の使用といった措置により情勢に対応することができる。
同法案の採決後、日本はさまざまな状況下で、米国といわゆる「脅威」に対応できるようになる。日本は米日同盟においてより多くの責任を負担し、米国の「アジア太平洋リバランス」戦略の実施に協力できる。
地域が不安定に
日米はいずれも南中国海の当事国ではないが、両国の南中国海問題に対する関心を強めている。米軍は日本に対して、空の巡視の範囲を南中国海まで拡張するよう誘っている。同法案の採決により、日本の巡視への加入の障害が取り除かれた。域外の勢力が南中国海に介入することで問題が複雑化し、地域の衝突のリスクが高まる。
一国もしくは一つの軍事集団の安全は、他国の安全の利益を犠牲とするべきではない。日本の集団的自衛権の行使容認、安保関連法案の改定について、アジアの隣国が安全を懸念するのは当然のことだ。安倍首相は歴史問題と正確に向き合い、他国の主権と安全を脅かすことを避け、実際の行動により日本が平和的発展の道を歩み続けることを証明するべきだ。(筆者:蘇暁暉 中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年7月17日