貧困をもたらす直接的な原因が失業だとすれば、貧困の根源にあるのは政策の誤りである。日本が1985年に打ち出した「労働者派遣法」は、非正規社員層を拡大させ続けてきた。表面的に見れば、日本の完全失業率は下降の傾向にあるが、実際には、労働市場が構造的に変化したため、大量の非正規の就業が生まれているにすぎない。低賃金で低保障、さらに常に仕事を失うリスクを抱えた労働者が大きく増えた。この法律は複数回にわたって改正され、派遣社員はほとんどすべての産業をカバーしている。これと同時に、日本政府は、最低賃金基準を低いレベルに据え置いている。欧州では標準賃金の40%が目安となっているが、日本ではわずか28%にとどまっている。さらに税収や社会保障などの再分配も奏功しておらず、貧困問題の激化を呼んでいる。
安倍晋三首相は就任以来、一連の改革措置を打ち出し、低迷する経済の活性化をはかってきた。だが貧困とその影響には無関心を決め込んでいる。量的緩和は株式市場を刺激し、円安をもたらしたが、債務危機の警鐘を鳴らすことともなった。日本人の一人当たりの負債はすでに811万円に達している。これと同時に、安倍首相は経済成長戦略において消費税率を引き上げる一方、法人税を引き下げる策を取り、貧しい人をさらに貧しくしている。
ここ3年にわたって安倍首相は絶え間なく「矢」を放ってきたが、日本経済はなかなか復調の兆しを見せない。その原因はやはり内需の不振にあるが、貧困はまさにその根幹をなす問題と言える。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年10月12日