日本の川崎市のある簡易旅館でしばらく前、火災が発生し、10人の老人が命を失った。この旅館は、居住者の半数以上が政府の生活保護を受ける高齢者だった。この火災で暴露されたのは、日本が現在、貧困の広がりの脅威を受けているという厳しい現実だった。
最新データによると、日本の80歳以上の人口はすでに1千万人を突破している。日本では最近、『下流老人』という新書がベストセラーとなった。この本には「一億総老後崩壊の衝撃」との副題が付けられている。同書の著者は、日本には、独居の高齢者が600万人おり、その半数が最低の生活保護レベルの生活をしていると指摘する。この状況が続けば、日本では9割の高齢者が「下流化」に直面するとされる。だが調査によると、高齢者は日本で最も裕福な階層でもある。2014年の家賃以外の全家庭消費のうち、高齢者の消費の割合は48%に達している。貧富の格差の拡大は、このパラドックスを形成している根本的な原因である。
実際には、日本の貧困問題の広がりは高齢者だけにはとどまっていない。日本政府が新たに発表した調査結果によると、相対的な貧困状態にある人口は約16%とされ、1985年以来の最悪の数字となった。相対的貧困とは、一般的な庶民の普通の生活が実現できず、日常生活に困難がある状態で、次の4つの現象が指摘されている。第一に、収入格差が拡大を続け、底辺の20%の家庭の収入が全収入に占める割合はわずか0.2%にとどまり、12%の富裕家庭の占める割合は37%に及んでいる。第二に、低収入の家庭が増加を続け、半数近い家庭の収入が400万円を下回っている。第三に、低収入層が拡大を続け、年収が200万円以下の人が1069万人に達している。第四に、非正規社員の数が2000万人を突破し、全労働者に占める割合が4割近くに及んでいる。