第11回北京-東京フォーラムは10月24日、メディアと文化円卓会議行い、出席者が中日交流におけるメディアの役割と責任について討論を繰り広げた。
◇メディアの両国関係における役割は重大
中日双方の代表は、メディアは両国関係において重大な役割を担っているという認識で一致した。全国政治協商会議外事委員会元主任、国務院新聞弁公室元主任の趙啓正氏は、「情報の空気」があふれる時代、私たちの生活はメディアと密接に関わっており、中日関係もメディアの影響を深く受けていると話した。NHK解説委員の加藤青延氏は、中日両国の8割以上の国民がメディアの報道を通して相手国の状況を知るため、メディアは両国関係において重要な役割を果たしていると言えるとの見方を示した。
◇メディアは中日関係にマイナスとなる要素の責任を負うべきか
メディアが中日関係におけるマイナス要素の責任を負うべきかということについて、双方の代表の多くが、メディアはある程度の責任を担うべきだが、重い責任をメディアに押し付けるべきではないとの見方を示した。趙啓正氏は、中日関係におけるメディアの責任は誇張してはならず、肝心なのはやはり政府の対応だと主張。零点研究諮問集団の袁岳会長は、国のイメージは両国の政府と政策の影響が主であり、メディアとそれほど大きな関係はないとした。
双方代表は、両国関係に関する報道でメディアは次のいくつかの面に注意する必要があると見ている。
1. 自身の知識体系を整理し、歴史を蓄積し、記者の技能を強化する
中華全国新聞工作者協会党組織書記の翟恵氏は、「報道するのは当日起きたことで迅速に伝える必要があるが、歴史と時間の検証に堪えられなければいけない」と話した。日本の共同通信社編集委員室長の杉田弘毅氏は、「記者が相手国に関する知識を備え、その現状と歴史を理解してはじめて相手の立場で問題を考え、建設的な観点を示すことができる」と述べた。
2.調査を深く行い証拠を何度も追求し、メディアの責任感を強める
中国宋慶齢基金会の井頓泉常務副主任は次のように話した。「相手国のマイナス報道は読者に拡張される可能性があり、両国関係に悪影響を及ぼす。そのため、両国のメディアは責任感を強め、調査を深く行い証拠を何度も追求する必要があり、聞いたことをすぐに報道したり、確認できていないことを報道してはいけない」と述べた。
2. 題材を発掘し、ストーリーをまとめ、報道を面白くする
趙啓正氏は、メディアの中日両国民への影響のほか、両国のエリートやシンクタンクのメディアへの影響も見る必要があるとした。社会科学者、エリート、シンクタンクの研究の成果は学術発表されるだけでなく、両国の政府や民衆とも連動させ、影響力を高めるべきだが、これらの学術作品は通俗性と実用性を備えていなければ広く受け入れられず、両国民に大きく影響を与えることはできない。
3、客観的、公正的、全面的に報道し、メディアの職業モラルを高める
中国社会科学院日本研究所研究員の金瑩氏は、中日両国民の間にある認識の溝はまず情報の溝によるものであり、これにはメディアの客観的、公正的、全面的な報道が重要だとの見方を示した。金瑩氏は2003年のチチハル毒ガス事件に対する中日両国メディアの異なる視点からの報道を例に挙げ、「メディアには自身の立場があるが、歴史の敏感な問題に関わる際は基本的な職業モラルを持つべきで、『善』の角度からとらえ、『人』の立場に立つべきである。これは両国メディアが今後の報道と交流で考えるべき問題の1つである」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年10月25日