「南京大虐殺文書」がユネスコの世界記憶遺産に登録されると、日本はユネスコの制度改革を何度も提案した。菅義偉官房長官は9日の記者会見で、「ユネスコの組織の中にわが国としても人材を出していくべきだ」と述べた。
共同通信社の報道によると、菅長官は同日、「アジア太平洋地域記憶遺産委員会は中国人が議長で、韓国人が副議長を務めている。日本人有識者を派遣するべきだ」、「本事業の政治利用は未然に防がなければならない。(ユネスコは)公平で透明な制度改革を実施するべきだ」と述べた。
パリで開催中のユネスコ総会に出席した日本の馳浩文科相は、申請制度の改革を巡り各国と交流した。馳文科相は6日、イリナ・ ボコバ事務局長と会談した際に、本件を特に取り上げた。共同通信社によると、ボコバ事務局長はすでに改善の議論に着手していると述べたが、具体的な改革の道筋についてはまったく触れなかった。またユネスコ加盟国も、日本の主張に冷ややかな態度を示している。
ユネスコの世界記憶遺産は1992年に始まり、人類の文献遺産の保護と共有の支援を目的としている。世界記憶遺産の申請に関する評価・審査は1年以上の期間を必要とする。審査機関には、地域委員会、国内委員会、国際諮問委員会が含まれる。そのうち14人で構成される国際諮問委員会が最も重要で、ユネスコに対して同事業の計画・実行の諮問を提供し、登録が提案されたプログラムの審査を指導する。アジア太平洋地域委員会は、地域委員会の一部にすぎない。
各国は申請さえすれば、ユネスコに学者を派遣できるのだろうか?環球時報の調べによると、ユネスコの各国の専門家の比率は、各国の負担金の比率が基準となる。しかし実際には多く負担しているほど、多くの専門家を派遣できるというわけではない。専門家の派遣には厳格かつ複雑な手順がある。ユネスコは派遣される専門家の能力など、各種基準に基づき検討する必要がある。例えば派遣される専門家がユネスコの基準に合わなければ、人数が足りなくても採用しないという原則を守る。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年11月10日