米国は10月27日に駆逐艦「ラッセン」を南中国海の巡航に派遣してから、南中国問題をアジア内部に押し込もうとしている。米国のカーター国防長官は拡大ASEAN国防相会議に出席した際に、南中国海問題を共同声明に盛り込むよう働きかけた。しかし米国側の狙いは、中国や一部のASEAN諸国の反対により実現されなかった。ASEAN国防相は共同声明を発表せず、稀なケースとなった。米国の最新のターゲットは、APECだ。
中国の習近平国家主席を迎えるため、フィリピンは10日、中国に対して「APEC首脳会議で南中国海問題を議論しない」と約束した。フィリピン・スター紙は12日、ゴールドバーグ駐比米大使の発言を引用し、「米国のオバマ大統領とフィリピンのアキノ大統領は、APEC首脳会議の合間に地域内の係争海域の緊張情勢のエスカレートに関する問題について話し合う可能性がある」と報じた。フィリピン外務省の報道官も11日、「フィリピンは会議で南中国海の議題を取り上げないが、その他の経済体が各自の二国間会議でどのような議題を取り上げるかについては関与し得ない」と発言した。
米国とフィリピンの他に、南中国海で「いやに積極的」なのは日本だ。日本は東アジアで開かれる一連の首脳会議で、米国と共に南中国海問題で中国を「包囲」しようとしている。日経中文網は11日、「安倍首相はAPECのほか、今月中旬にマレーシアで開催されるASEAN首脳会議と東アジア首脳会議でも米国と協力し、一連の会議後の声明に南中国海情勢への関心に関する内容を盛り込み、法的支配により海の秩序を守るよう呼びかけようとしている。安倍首相は米国と協力し、中国との間で領土・主権の係争を抱えるフィリピンとベトナムを中心とし、広くASEAN諸国の支持を集めようとしている。しかし中国も東アジア首脳会議に出席するため、声明に南中国海に関する文言が盛り込まれるかは不明だ」と報じた。
しかしながら周知の通り、APEC首脳会議のテーマはアジア太平洋の貿易自由化で、領土係争などの問題を議論する場ではまったくない。ロシア・スプートニクはAPEC首脳会議で厄介事をこしらえようとする人々に対して、先の拡大ASEAN国防相会議はこのような騒ぎにより共同宣言を発表できなかったと注意を促し、「一部の人は首脳会議で、ある世界の超大国の意図に基づき騒ぎを起こすだろう。ただし彼らはAPEC首脳会議で恥をかきたくなければ、そのような行動を控えるべきだ」と報じた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年11月13日