全国政治協商会議主席の兪正声氏は12月4日に北京で、中日与党交流協議会第5回会議に出席するため訪中した日本の与党代表と会談した。両国の与党による対話が6年ぶりに再開されたが、安倍政権がこのタイミングを選んだ理由とは何だろうか。この問題については、日本国内の政局を見据え分析していく必要がある。
安倍晋三首相は就任後、改憲を「歴史的使命」としており、改憲に必要な議員を集めるため全力を尽くしている。集団的自衛権の行使容認を求める国会の投票において、30数人の議員を擁する公明党も重要な力を発揮した。公明党の支援が、無償で得られるはずがない。自公両党はその見返りとして、消費税の再増税時に軽減税率を導入することで合意した。自公両党は年初、消費税軽減税率制度検討委員会を設立した。
しかしその後の流れを見ると、安倍政権は自らの約束を守りたくなかったようだ。同委員会は設立当初より、長期に渡る論争の渦中に巻き込まれた。両党は6月10日に、完全に議論を中断した。
日本政府の2015年度の一般会計税収は54兆円規模に達する見通しだ。これほど巨額の収入を、自民党があっさりと手放すはずがない。公明党は同委員会において、酒類を除く飲食料品(軽減額1兆3000億円)を対象品目とするよう求めていたが、自民党はそのうち精米の400億円分のみを了承した。これほど大きな溝を埋めることができるだろうか?
ゆえに当時の安倍首相は、再びジレンマに陥った。公明党に譲歩すれば、自らの経済政策に禍根を残し、政治生命が脅かされることになる。譲歩しなければ自公両党の連立政権の安定が危ぶまれ、圧倒的多数の議員を占め改憲を実現することが遠い先の話になり、自らの政治目標が妨げられる。