韓国の元慰安婦と支援団体は年末、日本政府の10億円という「お年玉」によって、余計に情けない思いをさせられている。
日韓の外相は12月28日に韓国の首都ソウルで、慰安婦問題の解決に向け合意に達したと発表した。日本は旧日本軍と政府の慰安婦問題の責任を認め、安倍晋三首相は「お詫びと反省」と表明した。双方はさらに、韓国が元慰安婦を支援するため設立する財団に、日本が政府予算10億円を拠出することを決めた。
双方が発表した合意内容を見ると、10億円は日本が責任を認め謝罪を表する「目に見える」措置、日本が一連の解決案の中で担う義務の一つのように思える。しかし残念なことに、日本政府はこの10億円を、合意内容の履行を巡る駆け引きの道具にしているのだ。
日本メディアが消息筋の話として30日に報じた情報によると、安倍晋三首相の「強い個人的な意志」により、韓国の慰安婦を支援する民間団体がソウルの日本大使館前に設置した、被害者である慰安婦をかたどった像の撤去を、10億円拠出の前提条件として韓国側に強調した。
合意内容における10億円の資金の性質について、日韓はそれぞれ別な点を重視していた。韓国は、日本の予算であるという政府の色合いを強調することで、支援金に日本政府の賠償・補償の性質を持たせた。日本側はこの資金を元慰安婦に直接支給せず、韓国政府の支援財団に「出資」することによって、賠償という法的色合いを回避した。
この資金の性質のあいまいな処理は、日韓が国内の状況を考慮した末の折衷案だ。これは双方が合意の中で「法的責任」を回避し、「責任」だけに言及したやり方と一致している。しかし日本側は最近、10億円の拠出と合意で取り上げられなかった慰安婦像を結びつけることで、合意の厳かさと実行可能性を損ねて、反省とお詫びを表するはずの資金を赤裸々な「口封じ」に貶めた。
これも無理はない。合意内容が発表された翌日、韓国の元慰安婦支援団体は日本大使館前で抗議集会を開き、日本に「正式な謝罪」と「法的賠償」を求めたからだ。韓国政府も、合意内容には慰安婦像の移設の問題が含まれなかったと直ちに説明した。
韓国の学者は、日本が第二次大戦中に朝鮮半島で20万人弱の女性を、慰安婦として強制連行したと見積もっている。韓国政府が登録している238人の元慰安婦のうち、生存者は46人のみだ。
70年が過ぎたが、日本政府はたった10億円で、慰安婦たちが血の涙を流した過去に終止符を打とうとし、感情を損ねている。日本側はそれだけでは飽きたらずとばかりに、10億円の資金により慰安婦の受難の歴史を記念する、人々の権利を奪い取ろうとしている。
この「国家的横暴」を支えているのは、どのような歴史認識なのだろうか?
10億円が「口封じ」に貶められたことで、正義が慰安婦から遠のき、良識が日本当局から遠のいている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年1月4日